「すごーい!たーのしーい!」
2017年/アメリカ/105分/ヒュー・ジャックマン/ザック・エフロン/ミシェル・ウィリアムズ/レベッカ・ファーガソン/ゼンデイヤ
89点
あらすじ
仕立て屋の息子バーナムは靴底もペラペラな貧乏少年。
父親が亡くなりその日食べるものにも困りパンを盗む日々の中、幼なじみの良家の令嬢・チャリティとの文通だけが心の支え。
地道に働き、大人になったバーナムはチャリティと結婚。
チャリティの父から「娘は不幸になり、戻ってくる」と言われるも、娘二人にも恵まれ裕福ではないが幸せに暮らしていた。
しかし勤めていた会社が倒産してしまう。
心機一転、ペテンを使い銀行から借金をし珍しい剥製や外国の処刑器具など集めた博物館をオープンさせるも閑古鳥。
娘の「死んでいる剥製じゃなくて生きて動くものが見たい。ユニコーンとか」という言葉をヒントに、以前銀行で見かけた小人症の青年、トムを「一緒にショーに出よう」とスカウト。
『ユニークなひと募集』と貼り紙を出し、ひげ女、犬少年、大男に曲芸をこなす黒人兄妹など仲間を増やしていく。
ざっくり感想
細かいことは気にすんな
問題提起は添えるぐらい
バーナム(主人公)けっこうひどい
フィリップいい男
娘可愛い
劇場鑑賞がおすすめ
娯楽映画として
主人公のバーナムがやってることってえげつないし、ショーに出演する仲間の「個性」というのは、掘り下げるには重いし中途半端に取り扱うには繊細なので、「娯楽映画」として作るならこれくらいの、問題提起のように添えるくらいで良いかなと思いました。
テンポがよく、もっと長い時間観たような感覚だったけど105分なんですねこの映画。
なのでストーリーとしては薄いけど王道の安心感と良さもあるし、歌とダンスを楽しむことがメインと考えれば良く作られているなぁと。
冒頭のショーからワクワクして。
どの曲も良いし演出も作り込まれていて見応え十分。
応援上映とか行きたい。
バーナムに都合よく世界は回るし周りの人たちがバーナムに甘すぎる部分もあるかと思いますが、「まぁ、いっか!」と受け入れてしまう勢いがありました。
ネタバレなし感想
等しく金儲けの道具として周りを見ているバーナム
「ユニークな仲間たち」を集めたショーは成功し、バーナムは富を得るも上流階級層からは「成金」、新聞からも「ペテン」と酷評される。
バーナムは上流階級に認められるべく上流層の劇作家フィリップをスカウト。
このスカウトの駆け引きシーンがカッコよかったー。
フィリップの人脈からヴィクトリア女王への謁見を叶え、ヨーロッパ1の歌姫、ジェニー・リンドのアメリカ公演をプロデュースしとうとう、これまで酷評を続けていた批評家からも「本物だ」との評価を受けます。
盛大なパーティを開くも、団員の参加を拒むバーナム。
招待したチャリティの両親にも毒づき関係悪化。
勢いづいたバーナムはジェニーの全米ツアーを企画。
サーカス公演と仲間を顧みなくなり家族も置いてジェニーのツアーに同行。
しかしバーナムを男として見るジェニーの思いに応えられず、二人は決別。
「あなたは私を道具としてしか見ていない」とジェニー。
ジェニーは残りの公演をキャンセルし、舞台上でバーナムにキスをしたためスキャンダルに。
あ、ジェニーのこと拒むんだ。
いや拒むべきなのでいいんですが。
ジェニーの歌声を聞いてすごく熱い視線を送ってたし、それに気づいた妻のチャリティが不安そうな表情してたし、娘2人が「パパ行かないで!」と追いすがってもジェニーを選んでの付きっ切りぶりだったのでジェニーに惹かれてるのかなと思ってました。
あんな風に熱心にされたらジェニー勘違いしても仕方ない。
ドタキャンはダメだけど「道具としてしか見ていない」って怒っていい。
バーナムが「ユニークなひと募集」と張り紙を出した時、「金儲けになるか」という点のみ考えていて「笑いものにしてやろう」という悪意も「日陰のひとたちを表に出すきっかけを作りたい」という善意もなかったと思うんですが、それと等しく既にヨーロッパの歌姫だったジェニーのことも見ていたのならある意味本当に偏見がないし平等にひとを見ている。
でも周りの目は違うとわかっていてそれはそれと割り切っているので。
上流階級層が集まるパーティ会場には団員を入れないようにしたりとか、特別いい人という訳でもない。
空中ブランコで忙しなく愛をうたう
上流層出身なフィリップですが、黒人兄弟でブランコ乗りをしているアンに恋をし、最初は周りの目を気にするも次第に「そんなの関係ない!」とアンをメイド呼ばわりした両親にもはっきりと自分の意志を告げます。
バーナムと反比例して株が上がりまくるフィリップ。
アンと思いをぶつけ合う空中ブランコシーンも、忙しないけどお互いに上に下にとなかなか同じ視線の高さになれない二人の関係性が表れてる感じで切ないです。
スタントなしで役者本人が演じているのも凄い。
以下、ネタバレあり感想
悪いことは重なりまくる
ジェニーに公演を打ち切られ、さらにサーカス反対派と団員との衝突もあり、劇場ビルが火事で全焼。
建物内に取り残されたと思われたアンを助けるためにフィリップは火の中へ。
結局アンは無事で、フィリップを助ける為にバーナムも中へ飛び込みフィリップ救出。
しかし意識不明の重体。
さらにジェニーとのキスが新聞に載り、長年支えてくれたチャリティにも愛想を尽かされ出ていかれ。
失意のバーナムは行きつけのバーで酒浸りになってしまいます。
が、蔑ろにした団員達がバーナムに寄り添ってくれます。
「あなたは私たちに家族をくれたから」
え、心が広い。
バーナムは団員たちと共にサーカスの再建を目指しますが、「あの時は悪かった」とか謝る言葉がないのがちょっとモヤる。
ここで1曲「あの時はごめん、また共にがんばろう!」みないなのがあると「まったくバーナムったらしようがないなぁ!」ってノリになれそうなんですが。
フィリップどこまでいい男なのか
サーカスの再建を誓うも、盛大にやらかしたバーナムには当然どこもお金を貸してくれません。
「やばっ…」と頭を抱えているところに、意識を取り戻し退院したフィリップがやってきます。
アンともうまくいったようで良かった。
さらにフィリップは「ボスの金遣いが荒いから、実は自分の利益取り分を貯金してた、その金を再建に使おう」とまで言ってくれます。
ここまでくると「フィリップ、神かな?」レベル。
「さすがにそれは…」とかいいつつもなんだかんだでフィリップの協力を得てサーカスを再建。
サーカスを待ちわびていた人々は熱狂します。
しかしバーナムはショーに出ず、フィリップにサーカスを譲り、「これからは子育てする」と宣言。
ステージに立つフィリップは仲間たちと共にバーナムに劣らないパフォーマンスを魅せつけます。
宣言通り、娘のバレエ発表会に大きな象に乗って駆け付けるバーナム。
象って発表会が終わるまで大人しく外で待っているのかな。
久しぶりにそろって発表会を見に来てくれた両親を客席に見つけ、娘は舞台で笑顔を浮かべます。
ちょっと強引ですが、めでたしめでたし
バーナムとチャリティの娘2人が最初から最後までずっと可愛いです。
途中、バーナムが金儲けに走った時は父親不在で寂しそうにしていたので、ラストの笑顔は本当に良かったと思えました。
細かいことは気にせずに「楽しんだもの勝ちだー!」という気持ちでまた観てみたい映画です。