レビュメモ!

映画・舞台・本のレビュー。ネタバレありの時はその旨表記します。映画と漫画と美味しいものがあれば大体しあわせ。

後半怒涛の???「猫は抱くもの」ネタバレあり・ネタバレなし感想

 

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2018年/日本/109分/沢尻エリカ/吉沢亮/70点

 

解説

「猫弁」シリーズで知られる大山淳子の同名小説を沢尻エリカと吉沢亮の主演、「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」などの犬童一心監督のメガホンで映画化。

元アイドルで今はスーパーで働くアラサーの沙織は、自分が思い描く理想の姿になれず、投げやりな毎日を送っていた。そんな彼女が唯一心を開いているのが、こっそりと飼っているロシアンブルーの猫・良男だけだった。沙織の心に寄り添う良男は、自分は猫ではなく沙織の人間の恋人で、彼女を守れるのは自分しかいないと思い込んでしまう。

主人公の沙織役と良男役を沢尻と吉沢がそれぞれ演じるほか、「銀杏BOYZ」の峯田和伸、本作が映画初出演となる「水曜日のカンパネラ」のコムアイらが脇を固める。

以上、映画.comより

 

 

ざっくり感想

色々斬新

猫(本物)意外と出ない

猫(擬人化)いろいろ

沢尻エリカの「美人なのに絶妙な残念加減」素晴らしい

 

 

 

 

 

ネタバレなし感想

 

 

 

 7割くらい舞台風演出だったりアニメーションが出てきたり擬人化猫もいろいろいたり

舞台風演出も、沙織が働くスーパーのレジだったり物品置き場の倉庫だったりいくつかセットを劇場内に組み、時には客席を走ったりもしていて色々斬新でした。

たまにミュージカル調になって歌いだしたりもします。

エリカ様の歌声はアイドルソングからカラオケでの安室奈美恵からかなり堪能でき、吉沢亮も1曲歌います。

キイロ役のコムアイの歌はさすがの本業で作品の世界観ともよく合っていて聞き応えがありました。

個性豊かな擬人化の猫が老若男女いろいろ出てくるのですが、尻尾はちゃんとお尻についてるのに何で頭に猫耳生えてないのかなと思ったら顔横にちゃんと人間耳があるからでした頭にもあったら耳が4つになるもんね!

実物の猫はあんまり出てこないので猫目当てで観に行くと物足りないかと思います。

 

 

  「ツンデレ、デレぬき、さおりんです」 

沙織は元アイドル。といってもヒット曲は「ロマンス交差点」1曲のみで沙織は5人グループ「サニーズ」の端っこでソロパートも少なかった。イメージカラーは青。

当時のキャッチフレーズは「ツンデレ、デレぬき、さおりんです」

 

現在は田舎のスーパーでレジ打ちをしており真面目に無口に働くので市内のチエーン店3店舗で接客人数1位になったりもしています。

しかし気難しい性質で同僚達にご飯を誘われても首を横に振って断ってしまったり孤独な毎日。

こっそりスーパーの倉庫で飼っている猫の良男にだけ本音をさらけ出し色々な話をしています。

良男は自分を沙織の恋人で人間であると思っているが当然そうではないので、沙織は年下の上司・高橋に誘われついていってしまいます。

ひとりカラオケで安室奈美恵の昔のヒット曲を熱唱したり、突然ありえないラブロマンスを妄想したりと、沢尻エリカが美人なのにコミュ障気味で不器用で、絶妙に残念な感じをうまく漂わせていました。

 

 

「ゴッホとキイロ」

ある日店長に呼ばれ事務所に行くと万引きで捕まった女子高生がおり、「女性店員でないと問題になるから」と沙織が対応するように言われます。

少女は反省の色もなく生意気で沙織のことを馬鹿にする。

 少女を迎えにきたのは両親ではなく叔父のゴッホ(後藤保なのでゴッホ)。

「またか」と女子高生を叱るが少女から「コレいらないの?」と現金が入った封筒をチラつかされ押し黙ります(少女の両親から少女の面倒を見る代わりとしていつも貰っている様子)

 

2人が帰った後、沙織は「きっとゴッホは色盲の画家で、山の中の家でキイロっていう名前の猫と暮らしてるんだよ!」と良男に妄想を話すのですが、後日、高橋と共に登った山の中に妄想と全く同じゴッホの家がありゴッホと再会。さらにゴッホは本当にキイロという名の猫と暮らしていました。

 

 

「現実は残酷/恋愛編」

沙織は高橋にのめりこんでいきますが、ある日ひとりカラオケの清算をしようとレジに向かった際、友人たちと入店の受付をしている高橋を見かけます。

沙織に気づかない友人たちと「こいつ(高橋)、元アイドルとつきあってるんだぜー」「でも本命は〇〇なんだろ」「(笑)」なんてやり取りをする高橋。

高橋は茫然とする沙織に気づき焦りますが、沙織は時間延長し部屋に戻り、サニーズの唯一のヒット曲「ロマンス交差点」を大音量で大熱唱。

スーパーの倉庫で良男相手に「もう男はあんただけでいいよ…!」と泣きじゃくる沙織。

夜、沙織を心配した良男は倉庫から脱走し沙織の元を目指しますが川に落ちてしまいます。

 

 

「僕は人間だよ、君たち(猫)とは違うんだ」

目を覚ました良男は、野良猫や通い猫など個性豊かな猫たちが集まる「ねこすて橋」のたもとに流れ着いていました。

自分を猫扱いしてくる猫たちに「僕は人間だよ。沙織っていう人間の恋人だっているんだ」と聞く耳もたない良男。

ねこすて橋のたもとには、ゴッホの猫キイロもいました(ゴッホがキイロを可愛がるのに嫉妬した女子高生がキイロをダンボールに詰めて橋から川に落とした為。恐ろしい)

怪我をしたキイロはしばらくねこすて橋で暮らしていましたが、ゴッホの元に戻るつもりだと話し、沙織の元に戻りたい良男も同行することになります。

 

 猫たちは本物も擬人化も個性豊かでどちらも魅力的なのですがのですが、その中でも良男(吉沢亮)とキイロ(コムアイ)の可愛さは際立ってました。

吉沢亮のビジュアルで猫の擬人化とかしかも一途に飼い主を思ってるとかファンにはご褒美のようなものなのでは。

コムアイのキイロは演技がどうとかでなく猫っぽいフニャフニャした可愛さがハマってました。

 

 

 

 

以下、ネタバレあり感想

 

 

 

 

 

 

「現実は残酷/お仕事編」

いなくなった良男を沙織は必死に探しますが見つかりません。

同じようにキイロを探すゴッホと遭遇しキイロに似た猫を2人で追いかけるも猫違い。

揃って山の斜面を落ち葉まみれで転がって笑ったり何だかいい感じです。

 

そんなある日、東京のTV局から「サニーズを一晩だけ再結成させたい」と連絡を受け沙織は東京に向かいますが、呼ばれたのは歌番組ではなくバラエティ番組で、懐かしのアイドルグループを集めてゲームをし、優勝したチームだけが持ち歌を歌えるという内容でした。

久しぶりに会ったかつての仲間は、第一線での活躍ではないもののドラマに出ていたりブログ本を出していたりと芸能人しています。

「沙織は最近どう?」と聞かれ「歌の仕事の話がきてるんだけど、選んじゃって…」と嘘をついてしまう沙織。仲間も適当に「あー、選んじゃうよねー」と流しますが沙織と同じく後方メンバーだったトッキー(イメージカラー緑)だけは「すごい!沙織歌上手だもんね!」と無邪気に信じてくれますいたたまれない。

 

かつて自分に手を出したプロデューサーとの再会に淡い期待を抱きこっそりロマンス妄想するも無視され、バラエティ番組で目立つことも出来ず、ダサいジャージを着て顔に白い粉をつけて散々な沙織(粉に顔を突っ込むゲームか何かをやらされた風)ほかのメンバーも顔に大きく落書きをされていたりスタジオは元アイドルが集まっているとは思えないカオスな空間に。

トッキーが水着姿で熱湯風呂を頑張ってくれたので見事サニーズが優勝し、持ち歌を歌えることになりましたが衣装を着替えることもできずボロボロの姿のまま、しかも司会者のエンディングトークにかき消されながら「ロマンス交差点」をどうにか歌う沙織。

もう観ているこっちの胸が痛い。

 

 

現実と妄想が入り混じるラスト

番組収録を終え戻ってきた沙織は、家に戻らずやけくそな感じで薄着のまま山に入りガタガタ震えながらゴッホの家に行きます。

色々あって酒を浴びるほど飲み大荒れな沙織。

「昔も今もがむしゃらに頑張っても報われない。ほんの少しだけのソロパートを歌うために必死で練習した」と吐き出す沙織にゴッホは「本当はアイドルグループの端っこでソロパートも少なくて恥ずかしいと思ってたんだろ」と鋭い指摘をします。

事実を指摘され「親戚にお金もらって引きこもって絵ばっかり描いてるあんたに私の気持ちがわかる?あんた1枚だって絵を完成させたことがある?画廊に持ち込んで滅茶苦茶にけなされたことがある?」「あんたに私の気持ちがわかる?」と激怒な沙織。

 

そこでゴッホは「わかる」と答えます。←?

 

「東京で頑張ったけどどうしょうもできなくて田舎に帰ってレジ打ちをして」

「歌が歌えると思って東京行ったらバラエティ番組で」

「歌が歌いたくてプロデューサーに付き合って、でも何にもならなくて」

 

などなど、沙織本人しかわからないことを暴露していくゴッホ。

『え?こいつ何なの?』な雰囲気になる沙織。

更に暴露を続け「俺には君の気持ちがわかる」と言い切るゴッホに号泣する沙織。

 

そしてどうにかこうにかゴッホの家に辿りついた良男とキイロは窓の外から中を覗くのですが、沙織はいきなり服を脱ぎ捨て全裸になり、ゴッホは夢中で沙織の絵を描き始めます。

 

何を言っているのかわからないと思いますが私自身がよくわかってないですすみません…

 

ゴッホはすごい勢いで沙織の体の色々な部位だとかを何十枚何百枚という勢いで描いていきます。

それを見ながら涙を流し「僕は猫だね」と自分が猫であることを認める良男。

 

朝になり、アトリエにはたくさんのスケッチと完成された大きな1枚の裸婦像が飾られています。

 

沙織は良男とも無事に再会。

色々ふっきれたらしくペット可の物件に引っ越し良男と仲良く暮らし、トッキーに誘われ結婚式場のお仕事で安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』を熱唱します。

 

スーパーも辞め、とある喫茶店の前を通りかかった沙織は「求人募集」の張り紙に気づき中に入ります。

そこにいたのはウエイトレス姿の、ゴッホの姪である女子高生。

女子高生は沙織を見て微笑み、店の奥に消えていき、それを追った沙織は店の中にゴッホが描いた自分の裸婦像が飾られているのを見つけるのでした。

 

 

 

 

……

 

 

という、正直よくわからない、「考えるより感じろ系のラスト」でした。

 

ゴッホは結局なんなのか。

実在するのか沙織の妄想なのかあるいは両方なのか。

女子高生は改心したのか。

なぜ喫茶店に沙織を描いたゴッホの絵が飾られていたのか。

 

沙織の妄想と現実の区別、境目がわからない。

 

気になったので見終わったあとに原作小説を読んでみたけど、映画版はだいぶ改変されていてやっぱりわからず。

結末はやっぱり観客の解釈に任せる、ということなのかなぁ。

 

猫は抱くもの

猫は抱くもの

 

 

タイトルがほんわかした雰囲気だし演出にファンタジーっぽさもありますが、沙織の不器用さや後半に襲いくる現実の残酷さは「止めたげてよぅ!」と庇いたくなります。

 

最終的には沙織は前向きになれたのでよかったですが、ずっと話を聞いてくれた良男の存在は大きかったと思います。

 

沙織に良男がいてくれて良かった。

 

猫すごい。

 

 

そして劇中に流れまくりエンディングでも流れた『ロマンス交差点』、なかなか頭に残るので今度カラオケで歌ってみようと思います。

 

 

エンディングで作中のオリジナルアイドルの歌が流れたり、ちょっと舞台風という点は少し「キサラギ」っぽい。少し。

「キサラギ」は個人的にかなり好きな作品です。

 

 

 

 

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「君の膵臓を食べたい」もそうですが、小栗旬は冴えない男を演じると本当に光ると思います。

 

 

 

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