レビュメモ!

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土屋太鳳無双「累」ネタバレなし&ネタバレあり感想

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 2018年/112分/土屋太鳳/芳根京子/浅野忠信/79点

 

あらすじ

伝説の女優を母にもつ淵累は、天才的な演技力を持ちながら、顔に大きな傷がある自信の容姿に強いコンプレックスを抱きながら生きてきた。一方、舞台女優の丹沢ニナは美貌に恵まれながらも花開かず、女優として大成することに異常な執念を募らせていた。累の手元には、その口紅を塗ってキスすると顔が入れ替わるという、母が遺した1本の口紅があり、ある日、導かれるように出会った累とニナは、互いの足りない部部を埋めたいという目的のため、口紅の力を使って入れ替わることを決断する。

ー映画.comよりー

 

 

 

ざっくり感想

New土屋太鳳を堪能できる、漫画的映画

ワクワク!芳根京子と土屋太鳳の演技バトル

劇中劇とストーリーの絡み面白い

檀れいが楳図かずお的ホラーの香り

 

 

青年誌漫画原作作品。

先に映画を観てから原作漫画を読みました。

原作漫画の序盤を頑張って2時間弱に詰め込んだ印象。

2時間弱にするならこれが妥当でよくまとめてあると思いましたが、面白かったので今作を「累~序章~」みたいにして、母親や口紅の秘密が解き明かされる続編も観てみたいなぁと。好評だったら続編製作してほしい。

不思議な口紅の力によってキスで顔が入れ替わるという突拍子のなさに最初は「お、おぅ…」と違和感がありましたが観ていくうちに気にならなくなり、漫画原作ならではの世界観をうまく作り上げていたように思います。

 

 

 

ネタバレなし感想

 

物語は墓地の読経から。

伝説の女優・淵透世の13回忌。透世の一人娘である累は顔に「右だけ口裂け女」のような大きな傷があり親戚から疎まれ、本人も長いボサボサ髪で顔を隠し卑屈に生きてきていた。

孤独な累はかつて母に言われた「どうしても、どうしても辛くなったらこれを使いなさい」という言葉と、渡された口紅のことを回想する。

そこへ女優時代の母を知る羽生田という男が現れ、舞台を観に行くことに

初めて見るプロの舞台と、女優・丹沢ニナの美しさに圧倒される累。

終演後、羽生田によりニナと累は引き合わされ、累にスランプ中のニナの代役になるように告げ台本を渡すーーーーーーー

 

のですが、土屋太鳳演じるニナがなかなか意地が悪く「こんな化け物が私の代わり?」みたいに怒って累を散々けなして突き飛ばしたりします。

さすがにキレた累はおもむろに取り出した口紅を塗りニナにキス。

すると累の顔の傷がニナに移り、傷だけでなく顔そのものが入れ替わります。

愕然とするニナと、驚いていない羽生田。

ニナの顔を奪った累は台本も見ず、一回観ただけの舞台の台詞を見事な演技力で読み上げます。実は累は女優に憧れていたのです。

 

そして天才的な演技の才能を持ちながら醜い容姿をした累(といっても傷があるだけで顔そのものは可愛いのですが作品中では顔そのものがとんでもなく醜いみたいな扱い)と、華のある美貌を持ちながら演技が大根+なにやら事情ありげなニナの利害が一致し、二人は入れ替わり生活を送ることになります。

 

1人2役=2人1役の始まりです。

 

 

土屋ニナは美しく傲慢に、土屋累は美しくも陰鬱に。

芳根ニナは醜くも颯爽と、芳根累はひたすら卑屈に陰鬱に。

そして物語が進み入れ替わりを重ねるごとに少しずつ二人の心情や立場が変化し演技もそれに合わせて変えていかなければならない上に、劇中劇もあるので演技上手と大根演技もしなければならなかったり大変ですがこの演技の切り替えが見所になります。

 

土屋太鳳と芳根京子の、まさに火花散る競演なわけですが中身は違ってもニナの顔でいる時間が長いことや最大のクライマックス(劇中劇でのダンスと演技)もニナの顔を奪った累=演じているのは土屋太鳳なのでどうしても土屋太鳳の見せ場が多く、これまでの清純派イメージとは真逆な役どころをしっかり演じてある分、土屋太鳳無双な感があります。

個人的に「包み隠さず性格の悪い美人」は結構好きなので土屋ニナが芳根累をヒールで踏みつけるシーンがあるのですがそこも「オイオイ」と思いながらも好きだったりします。

芳根京子は醜さによる卑屈が骨の髄まで染み付いた役ではあるのですが、大きな傷がある以外は綺麗な顔をしているので何だか化物レベルに醜いヤツ扱いされてるのに最初違和感が…。しかしボサボサ髪に猫背、可愛くない上目使いで卑屈な喋りの芳根累を見るうちにそれも気にならなくなってきたので演技の上手い女優さんだなと。

芳根京子だから土屋太鳳無双な作りでも引けを取らずにW主演ができたんじゃないかな。

 

浅野忠信演じる羽生田も「こいつ信用ならん、絶対やばいヤツだ」という胡散臭さが満々でよかったです。

 

そして所々で出てくる檀れい演じる淵透世も、どこか楳図かずおのホラー漫画に出てくる美人みたいで良い意味での不気味さがあってよかった。

顔を奪う口紅とかどう考えても呪術的アイテムですしね…。

 

 

 

 美人だけど素人演技なニナと、演技は天才的だけど醜い累はキスで顔を交換し、新進気鋭の演出家・烏合が手掛ける舞台、アントン・チェーホフの『かもめ』のオーディションを受けることになります。

キスをして交換になるのは顔のみ(体は本人のまま)の為、累とニナは共同生活を送り、ニナは累に食事の順番(サラダを最初に食べる)や姿勢、発声や演技について厳しく指導をするのですが、実はニナは以前、烏合のワークショップに参加したことがありそこで「君の美しさは武器になる」と言われ女優の道を本格的に目指すことを決意したという経緯があり、『かもめ』のニーナ役は何としてでも掴みとりたい役だったのです。

 

オーディションでは気難しい烏合が大手事務所の女優の台詞を途中で止めて「もういい」とお帰り願ったりピリピリしたムード。

そんな中、累はヒロインのニーナが憑依したかのような素晴らしい演技を見せ烏合の目に留まりまくり合格します。

累も、「ニナの中にいる本当の自分」を見透かすような烏合の視線に戸惑い意識をするように。

顔合わせと本読みに参加した累は、本物の役者やスタッフに囲まれている女優としての自分に感極まって泣いてしまったり、懇親会ではヒロイン役の女優としてチヤホヤされたりして「私がこの場の主役なんだ…!」とこんなの初めて体験の連続でちょっと浮かれてしまいます。が、口紅の効力は12時間。時間を過ぎると強制的に元の顔に戻る為、朝9時にキスして夜9時には舞台仲間の前から姿を消さなければならないというシンデレラのような生活を余儀なくされています。

懇親会から抜け出す際に烏合に「演出家として息詰まっていたけど君の演技にハッとした。君に期待している」みたいなことを言われますます烏合を意識する累。

この演出家・烏合(横山裕)が「絵に描いたような才能ある中二病」みたいなナイーブさと気難しさを持ってる感じの気障なセリフ回しでちょっと面白い。

 

ニナは累が稽古している間、ちゃんと綺麗な服を着て街を闊歩しますが、顔の傷を奇異の目で見られたりヒソヒソ噂されたりします。

そして雑誌のインタビューで自分の顔をした累が好きな本などを累の嗜好で答えているのを見て憤慨。電話で羽生田に訴えるも「気にするな、俺たちはあいつ(累)を利用してるんだ」とスルーされ、かつ目の下にできたクマを指摘されてしまします。ニナはすぐに薬を飲みますが…。

 

 

 

 

以下、ネタバレあり感想

 

 

 

 

 

 

 

 

ニナの顔をした累は順調にスターの階段を登りますが、ニナはイライラ。

 

だって顔は自分だけど中身は累だし、烏合さんはワークショップで出会った私のことを覚えてくれてるのに(←勘違い)

 

我慢ならなくなったニナは稽古場に乗り込み、強引に累と顔を交換し烏合の前で演技をしますが「素人か!一体どうしたんだ!」とダメだしされて大ショック。

「入れ替わりなんて止めてやる!」とキレますが「たくさんの人に迷惑をかける。ニナさんの悪いようにはしない」と累に説得され思いとどまります。

 

順調に稽古をしていた累もキスシーンで躓きます。

相手役に顔を近づけられると背けてしまうのです相手役かわいそう。

居残り練習する累に烏合が声をかけ、累は「私、異性とキスをしたことがなくて…」と打ち明けます。

「不思議な子だ…。演じている時は強気なのにそれ以外の君は臆病で~~~」という流れで練習と称してキスする2人。そしてそのまま付き合い始める2人。

烏合に「仕事以外でも会いたい」と誘われ、累は承諾。

ニナに「稽古後の打ち上げがあるから顔の交換を延長したい」と嘘をつく累。

快諾するニナですが、羽生田にスケジュールを聞き打ち上げなんてないことを確認。

当日、一度延長に応じ再度キスをするも、累が油断したところもう一度キス。

もみ合いになるも顔を取り戻したニナは「所詮あんたは偽物なのよ!調子に乗るのもいい加減にして!」と累を突き飛ばしミニスカハイヒールで背中を踏みつけます。

絶望し号泣する累。

家に戻っても着替えることもできずまんじりともしない累。

そこへニナが深夜帰宅し「まだ起きてたの?烏合さん素敵だったわ~」と累を挑発します。

「烏合さんと寝てきた。私は太ももにホクロがあるからこれからあんたと顔を交換してもあんたは烏合さんとは寝れない、偽物だってバレちゃうから!」と累をいびるニナ。

「あんたは用なしよ!」と累を追い出そうとするニナでしたが、突如深い眠りにつき崩れ落ちてします。驚いた累は羽生田に連絡をしますが…。

 

実はニナには「眠り姫症候群」という持病があり、突然前触れなく眠りについてか数週間、あるいは数か月間目を覚まさないことがあるとのこと。

それで女優としての仕事に穴をあけたこともあったのだと羽生田は累に説明します。

「病院に連れて行かなくちゃ」という累に羽生田は「このままにしておけ」と羽生田。

「ニナさんの人生を奪ってしまう」と躊躇する累でしたが掴みかけた女優への夢が捨てきれず承諾してしまいます。

 

 

 そんなこんなでニナが目を覚ますと、なんと5カ月経過していましたビックリ!

『かもめ』は大好評のうちに幕をおろし、丹沢ニナは雑誌やCMでも人気。

次の舞台はフランスで賞も受賞した有名演出家が手掛けるオスカー・ワイルド原作の『サロメ』に決定!など言われ、ポカーンなニナ。

「累に感謝しろよ?お前の下の世話までしたんだぞ」とまで言われてしまいます。

さらに累に「烏合さんとどうなったの?」と尋ねると「つきあったけど別れました。今はそれどころじゃないですから」とあっさり。

「ニナさん、(烏合さんと寝たって)嘘つきましたね?彼、私が処女だってことに驚きませんでしたよ?」と。

累を振りきって烏合と会った夜、ニナは烏合に「心の奥に秘めている何かを感じない、それが君の一番の魅力なのに」「君は本当に(僕の知ってる)ニナなのか?」とフラれていました。これはさすがにニナ気の毒。

 

ショックを受けるニナに累は「今の私たちの状況をわかってもらう為にゲストを呼んだの」と追い討ちをかけ、なにかと思ったらニナの母親が家にやってきます。

「私の付き人の累さん」と自分の母親に紹介されるニナ。

「お母さん」と甘える累。

「この子は体も弱くて学校も休みがちで友達も少なくて…だから今は本当に嬉しいの。累さん、ニナのことをよろしくね」とか言われ「はぃ…」と頷くしかないニナ。

羽生田は累に「ニナは母親に弱いからああすれば何も言えないと思ったんだ」と悪どいことを言います。

そんな羽生田の家には累の母親・淵透世の特大パネル的なものが飾られていたり、ホームシアターで透世が演じた『サロメ』の舞台映像をガン見していたりと過去の因縁をほのめかしまくりますが映画では昔からの知り合いとだけしか明かされません。気になるやろ…。

 

 

累は『サロメ』の稽古に励みますが、「預言者ヨカナーンへの片思いを拗らせまくり、大嫌いなエロ義父王のリクエストに応えて踊りを披露し褒美にヨカナーンの首を強請り入手した生首に口づけをする狂気の王女サロメ」という難しい役どころで演出家にダメ出しされまくり行き詰りなにかと母親と比べてくる羽生田にも反発するようになります。

 

一方、ニナは累の生い立ちを調べるために累の出身小学校や生家へ。

累へのいじめを止められなかったという教師の話を聞き、朽ちた生家の地下室で誰かを監禁していた形跡を発見し、ニナは累の罪と累の母親の秘密に辿り着きます。

 

ニナが家に戻ると、「演技に行き詰った」と累がワインを飲んでいました。

「付き合ってくださいよ」とワインを差し出され、絶対怪しいんですがニナはワインを飲みます。

そして「あんた小学生の頃、同級の顔を奪って芝居に出たでしょそしてその同級生殺したでしょ」「あんたの母親も誰かの顔を奪って地下室に監禁してたんでしょ私はそんなの嫌だからね!」と再度これ以上の入れ替わりを拒否。

「同級生の死亡は事故だった」としながらも顔を奪ったことなどに悪びれる様子もない累。そしてニナはまた強烈な睡魔に襲われます。ワインに睡眠薬を入れられていたのです。

深い眠りについたニナを確認し、累は羽生田に「ニナさんがまた発作を起こしました」と電話報告をします。

 

 

 

再度長い眠りについたニナを世話しながら、累はサロメの稽古を続けます。

口紅はニナのベッドサイドテーブルに置き、朝の9時に顔交換。

『サロメ』は上演時間が長いため、開演前に延長のキスもします。

いよいよ舞台が始まり、累はサロメを大熱演。

ヨカナーンの首を手に入れる為の圧巻のダンスシーンを劇場の扉にもたれながら見守っていた羽生田の隣に、持病で眠っているはずのニナが現れます。

実はニナは既に起きていたのですが眠ったふりを続け口紅を偽物と交換。

ちょうど口紅の効果が切れる夜の9時、舞台で踊る累の顔が観客の前で元の醜い顔に戻るように罠を仕掛けていたのです。

「楽しみだわ」とニヤリ舞台上の累を見るニナ。

しかし9時を回っても累の顔は元に戻らず「そんなはずは…」と動揺するニナ。

舞台の暗転に合わせ一旦舞台袖に引っ込んだ累と、それを追うニナは劇場ビルの屋上へ決戦の場を移します。

 

 

 累はニナの策略を見抜き、部屋の時計を5分遅らせ舞台の暗転に合わせて顔が戻るようにしていました。

元の顔に戻った2人が対峙してバトル勃発。

「大事な口紅をあんなとこ(ベッドサイドテーブル)に置いておく訳ないじゃない」ともっともなことを言いニナを挑発し再度顔を奪おうとする累。


5カ月前は「ニナさんの人生を奪えない」とか言っていたのに強く(悪く)なって…。


「あんたに奪われるくらいなら!」とナイフか何かを自分の顔に押し当てるニナ。


「美しいのが当たり前で生きてきたあんたに顔に醜い傷がつけられる訳ない、私の顔になった時にどんな目でみられるかわかったでしょ?」とやれるもんならやってみなテンションの累に

「それでもいい、私はあんたみたいに心まで醜くないから!」と言い放つニナ。

いや、ニナも結構な性格の悪さだったですけども。

 

「顔よこせ!」「絶対いや!」と揉みあう2人は、そのまま建物の中二階?のテントに揃って落下してしまいます。

遅れてきた羽生田が焦ってやってくると、ニナは重傷。累も怪我はしましたが悪運と強靭な精神力で起き上がり、瀕死のニナにキスをして顔を奪います。

「絶対死なせないで」と言い残しそのまま舞台に戻る累。

駆けつけた救急隊員に「殺して…」と懇願するニナ。

救急隊員の「名前言えますか?」という声が聞こえたんですがニナがどう答えたかはわからず。声がまだ出せるならきっと「丹沢ニナです」と答えるんだろうけど顔が違うし意識混濁と判断されてしまうのかな悲しい。

舞台に戻った累はヨカナーンの首をうっとりと掲げ彼への愛を訴えます。

 

 

「ヨカナーン、ヨカナーンヨカナーンヨカナーン…!」

「他の男なんて吐き気がする…でもお前だけは綺麗だった」

「どうしてあたしを見てくれなかったのヨカナーン!」

 

 

「あたし、お前にキスをしたよ、ヨカーン…」

刹那。掲げた首はニナになり、口づけたサロメは顔に傷のある累になります。

 

 

口づけの後、サロメはニナの顔をした累になり、満員の観客はスタンディングオベーションで惜しみない拍手を主演女優へ送るのでした。

 

 

 

 

 

…と、サスペンスぽくもありちょっとホラーテイストもあり女の闘いあり何より主演女優2人の演技バトルが見応えがあり面白かったです。

 

「ガラスの仮面」的な劇中劇の面白さもありますし、最初の劇中劇『かもめ』は女優に執着する累とニナにリンクし、『サロメ』は累の狂気にリンクした演出になっていて上手いな~と思いました。

 

 

 

 漫画も面白く、完結済みなので口紅の謎や累の母親の淵透世のこととか羽生田の関わりとかその後の累についてもきっちり描かれていて読んでスッキリしました。

 

 

累(1) (イブニングコミックス)

累(1) (イブニングコミックス)

 

 

映画の続編も観てみたいです。

 

 

 

 

 

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