2018年/アメリカ/104分/ユアン・マクレガー/78点
あらすじ
少年クリストファー・ロビンが、“100エーカーの森”に住む親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経った──
大人になったクリストファー・ロビンは、妻のイヴリンと娘のマデリンと共にロンドンで暮らし、 仕事中心の忙しい毎日を送っていた。
ある日クリストファー・ロビンは、家族と実家で過ごす予定にしていた週末に、仕事を任されてしまう。会社から託された難題と家族の問題に悩むクリストファー・ロビン。そんな折、彼の前にかつての親友プーが現れる。
プーに「森の仲間たちが見つからない、一緒に探してほしいんだ」と頼まれたクリストファー・ロビンは、子供の頃プーたちと過ごした“100エーカーの森”へ。
何一つ変わらないプーやピグレット、ティガー、イーヨー、カンガとルーの親子。仲間たちとの再会に喜びと懐かしい日々を感じながらも、仕事に戻らなければならないことを思い出す。
「仕事って、ぼくの赤い風船より大事なの?」と、悲しむプーたち。急いでロンドンに戻ったクリストファー・ロビンは、森に会議の重要な書類を忘れてしまう……。
ー公式HPよりー
ざっくり感想
可愛くシュールな哲学プー
ハチミツねっちゃあぁ
大切なものはちゃんと大切に
映画を観る前、友人に「『プーと大人になった僕』を観に行く予定」と話した際に「ネットで「プーさんが退職届を持ってついてくる映画」って見た」と聞いてしまい、インパクトが強くちょっとその先入観を持ったまま観に行ってしまいました。
実際に観て、当たらずとも遠からずというか、大切なことを思い出す良い映画ではありつつ「退職しちゃいなよ」まではいかずとも「大切なものを大切にできない暮らしならしばらく休んでのんびりしたら?」ぐらいは言われてる感じだなぁと思いました。
でもしばらく仕事休んだら多くの職種は結果そのまま無職になりそう…あれ…。
以下、ネタバレなし感想
大まかなストーリーは↑のあらすじに書いてある通りなんですが、大人になったクリストファー・ロビンはプーや森の仲間たちのことを思い出すこともなくなり家族との時間を削り働いていました。
会社の業績不振な旅行カバン部門で一生懸命働くも上司からは「コスト削減案が出さないなら部門を縮小して部下もリストラさせる」とか言われ頭が痛いクリストファー。
「夢はタダじゃない。何もしなければ何も始まらないんだよ」とか言われてしまうクリストファー。
起死回生の案がすんなり浮かぶわけもなく、「悪いな…」と呟きながら部下のリストラ名簿を作ったりしています。
週末は妻と娘と幼少時に過ごした森へ出かける予定でしたが「2人で行ってくれ」と1人で仕事にとりかかる姿勢。
妻・イヴリンは「あなたの仕事を好きになった訳じゃない」とふてくされ(夫婦どっちの気持ちもわかる)
ベットに入った娘に謝罪とおやすみのあいさつへ行くと、クリストファー・ロビンの子どもの頃の宝箱を見つけたとのことで「ダディは絵がうまいのね」と森の仲間たちを描いた絵を差し出さされます。
おそらく数十年ぶりにプーたちのことを思い出したクリストファー・ロビン。フラグきました。
娘に「本を読んでほしい」と言われ、娘の教育のために良かれと思い産業革命の本を読み始めますが当然それは娘が読んでほしかった本ではなく、おまけに「夢はタダじゃない。何もしなければ何も始まらないんだよ」と上司に言われた夢のない言葉を娘に投げかけすれ違う父娘。
すっかり疲れた大人になったクリストファー・ロビン。
その頃のプー。
いつもの100エーカーの森で目覚めるとピグレットやイーヨーなど森の仲間たちがいない!仲間を探し彷徨うプーはクリストファー・ロビンの家の近くにある公園にやってきます。
そして隣人からのしつこいジン・ラミーの誘いを避けるために公園に立ち寄ったクリストファー・ロビンを再開を果たすのですが…。
「ありえない、ストレスだ」
ロンドンの自宅前の公園でプーと再会したクリストファーは自分が幻覚を見ているのだと思います。が、はたから見ると動いて喋るぬいぐるみと真剣にやり取りしている変な大人です。隣人に見つかり、プーをぬいぐるみだと言い張り家に連れ帰るクリストファー。
お腹が空いたのでハチミツを食べるプーですが、アニメではなく実写なので手足の毛にベッタアァネッチャアァとくっつきそのままクリストファーの顔を撫でり撫でり。
そしてそのまま歩くものだから絨毯にもベッタンベッタンとハチミツが付着して「ああ!(洗濯があぁぁ)」と焦るクリストファー。
「何とかしなきゃ」と焦るクリストファーに「“何もしない”をするよ」と哲学的なプー。
どうにか娘・マデリンのベットへプーを寝かせ(ベットにはマデリンが父に読んでほしかった本「宝島」が置いてあります)、仕事再開。
翌朝目を覚ましたプーはハチミツを求めキッチンへ。
悪気はないんですが登った棚が崩れ、そのままピタゴラスイッチのようにいろんな物がドンガラガッシャン崩れ落ち大惨事なキッチン。
これじゃ仕事どころじゃない…!と、クリストファーはプーを森へ帰しに向かいます。
それは風船よりも大切?
大人になったクリストファー・ロビンはプーを連れて汽車で森へ向かいます。
途中赤い風船をねだられプーへあげたりします。
車窓から見える景色ひとつひとつを「木…家」など声に出すプーに仕事が捗らないクリストファー。
風船は使わないから必要ない物だというクリストファーに「風船を持ってると幸せになるよ」とプー。
「その鞄は風船よりも大切なもの?」
「…そうだ」
「毛布みたいに?」
「…そうだ」
100エーカーの森にて
プーがいると仕事にならない!と森に帰しにきたクリストファーでしたが、結局プーと一緒に仲間たちを探すことにします。
コンパスをプーに渡して北を目指しますが、プーはコンパスをただ見てるだけなのもあり道に迷い同じところをグルグル回ってしまいます。
仕事の期限もあるしでイラつき「時間を無駄にした!」と怒るクリストファー。
プーはずっとクリストファーと一緒でしたが、
「僕も捨てたの?」との問いかけに
「そうかもな」と返され姿を消します。
消えたプーを探すクリストファーですが、昔自分たちが掘った「ズオウを落とす穴」に落っこちるわ気絶しちゃうわ雨は降るわで状況は最悪です。
落とし穴から池?に流されどうにか這い上がると雨が上がっています。
そこで川を流れるイーヨーを発見!
「もう僕はダメだ…」「このまま流されて消えるんです…」とマイナス思考っぷりが実写版で際立つイーヨー。
どうにかこうにかイーヨーやピグレット、ティガーやカンガ、ルーと合流しプーとも再開を果たしたクリストファー・ロビン。
プーに謝り肩を寄せ合い仲直り。
童心は取り戻しますが仕事は放っておけないクリストファーは大事な会議がある為ロンドンへ帰ります。
妻子も来ているので顔だけ見せて帰ります。
以下、ネタバレあり感想
悪気はないんですが、クリストファーの仕事鞄を乾かしてあげるついでに中に入っていた大事な書類(コスト削減案)を、森の仲間は森のドングリとかと入れ替えてしまいます。
悪気はないんですよ、「森の素敵な物」を入れてくれたんですよ…。
しかしプーに「それはクリストファー・ロビンの大事なもの」と聞き「届けなきゃ!」と焦ります。
でもぬいぐるみであるプーたちが自分たちの力だけでロンドンになど行けません。
そこへ現れたのがクリストファー・ロビンの大事な一人娘・マデリン。
マデリンは一人遊びでテニスをしてたんですが、幼き日の父の落書きに描かれたプーたちと対面し、事情を知るとプーとその仲間たちにぬいぐるみのフリをさせ、共に父を救うべくロンドンへ向かいます。もちろん道中色々あり、娘がいなくなったことに気づいたイヴリンもロンドンへ向かいます。
クリストファー・ロビンが会社に着くと、上司はゴルフクラブとか持っていて「週末仕事せずに遊んでました」というのを隠そうともしていない様子。そのくせ会議では「私とクリストファーでコスト削減案を考えました」「クリストファー、発表して」とか偉そうに言いますムカつきます。
イラッとしながらも鞄を開けるクリストファー。中に書類はなくあるのはドングリや葉っぱで唖然とします。
絶対絶命の所へ妻のイヴリンが「マデリンがいないの!」とやってきます。
大事な娘のため、会議を抜けマデリンを探すクリストファー。
マデリンとプーとその仲間たちはどうにか会社の近くまで来ていましたが、もう少しというところで転んでしまい、しかもそこへ風が吹き転んだ拍子に空いてしまった鞄から大事な書類が吹き飛んでしまいます。
ショックを受けるマデリン。
そこへクリストファーがやってきて、ごめんなさいと謝るマデリンを「そんなことどうでもいい」と抱きしめます。
「ダディが喜んでくれたら寄宿舎に行かなくてもよくなるかと思った」と本音を打ち明けるマデリン。
今夜は産業革命じゃなくて『宝島』を読んでもらえそうです。
家族と和解し、一瞬仕事諦めムードになりますが、たまたまマデリンの手に残った1枚の書類を見て、突然閃いた様子のクリストファー・ロビン。
妻子と共に会社へ戻り、旅行カバン購入顧客の収入データのようなピラミッド型の表を張り付け「今までは富裕層のみが旅行カバンを買って旅行していた。“何もしない”ことでこれまで旅行に行かなかった層が休みをとり旅行に行けば新規顧客の獲得となり旅行カバンの売り上げも上がります!」みたいな策をドヤァ、と提案。
会議出席者たちは「低所得層が旅行なんて…」と渋い顔を見せますが社長は乗り気です。
それを見た上司は「私とクリストファーが一緒に考えた案です!」と手柄を横取りしようとしますが社長に週末ゴルフを見抜かれぐうの音も出ません。
“何もしないことの大切さ”を思い出したクリストファー・ロビン。
クリストファーはさっそく休暇をとり、妻と娘と共に100エーカーの森に向かいます。
プーと仲間と、家族と一緒に100エーカーの森で。
マデリンはティガーたちと飛び跳ねて遊び、イヴリンはイーヨーへお茶を差し出します。
そしてクリストファー・ロビンとプーは、かつてのように丸太に並んで腰かけます。
かつてのように。
なんかもうこのラストは幸せの縮図過ぎる世界でした。
プーとその仲間と、妻と子と100エーカーの森でのんびり過ごすとかクリストファー・ロビン良かったね…!
そしてプーも、クリストファー・ロビンを忘れずに待ち続けて良かったね!
部下のリストラという懸念材料がなければ一旦仕事辞めて100エーカーの森でしばらくのんびりする、とかでも良いんじゃないかなとも思ったんですが。
最後に手元に残った1枚の書類から仕事でもミラクルが起こるのはちょっと出来過ぎだとは思うんですが、あのミラクルがないとクリストファーの部下もリストラされちゃうしディズニーだしあれで良かったです幸せな世界。
そして映画を観終わってから知ったんですが、映画のテーマになっている“何もしない”はアニメ『くまのプーさん完全保存版(1977)』で、成長して“何もしない”が出来なくなっていくクリストファー・ロビンが「ねぇプー、僕がいなくても“何にもしない”をしてくれる?」「それからね、僕のことを忘れないって約束してくれる?」とプーと交わした約束から繋がっているそうで。
それを踏まえてもう1回観たら泣くわ。