2018年/アメリカ/90分/エミリー・ブラント/ジョン・クラシンスキー/70点
あらすじ
音に反応して人間を襲う「何か」によって人類が滅亡の危機に瀕した世界で、「決して音を立ててはいけない」というルールを守り、生き延びている家族がいた。彼らは会話に手話を使い、歩くときは裸足で、道には砂を敷き詰め、静寂とともに暮らしていた。しかし、そんな一家を想像を絶する恐怖が襲う。
ー映画.comよりー
何を怖く感じるか何を面白く感じるか、本当に個人差があると思うのですが。
私はホラー映画だと心霊・呪い系が怖くてでも好きで観てしまう、惨殺・拷問系は苦手で観れないタイプです。
エイリアン系は造形によって怖い怖くないの感じ方が変わってくるのですが(虫系だと無理)「クワイエット・プレイス」は怖くないけど緊張感は感じられる、ホラーというよりは家族愛の物語だと思いました。
「IT“それ”が見えたら、終わり」を観た時も怖さはあまり感じずホラーというよりは少年少女の成長・青春物語だなと思ったのですが、エイリアン・ピエロに対する根底にある恐怖心というのは日本人はアメリカ人と比べるとかなり薄いと思うので温度差もあるのかなとか。
ざっくり感想
お姉ちゃん、間が悪い
母というか女子つよい
いろんな意味で母すごい
釘いたい
ネタバレなし感想
秋~初冬。
父、母、長女、長男、次男の5人家族が、会話もせず音もたてず抜き足差し足で廃墟と化したマーケットで薬を探しています。
どうやら長男が発熱している模様。
店の外にはゴミと化した新聞があり『ヤツらは音に反応する』『NY全滅』『地下に潜れ』などの不穏な見出しが躍っています。
まだ4歳の幼い次男は大好きなロケットのおもちゃを見つけ持って帰ろうとしますが父親に止められます。念のためにおもちゃから乾電池も抜き置いていこうとする父親。
しょんぼりする次男を見、聴覚障害を持った長女は『内緒よ』と人差し指をたて、ロケットを弟へ渡します。弟は抜いた乾電池をまたおもちゃに入れ、皆と家に帰っていきます…。
帰り道も無言で抜き足差し足で縦一列に並んで進みますが、長男が持っていたおもちゃのロケットからピロローンと音が!焦る家族、父親はダッシュで息子の元へ向かいますが、目にも止まらぬスピードでやってきた【ヤツ】に次男は襲われてしまいます。
最初に一番小さい命が奪われる容赦なさ。
夏。
広大な土地にポツンと建った一軒家で暮らす家族。
父は地下室で「SOS」信号を世界に送っているようですが反応なし。
繋がらなかったらしき「TOKYO JAPAN」をマーカーで塗りつぶします。
日本終わってた。
父はホワイトボードに自分なりに分析した【ヤツ】の情報を書きこんだり長女のための補聴器を作ったりもしています。
家の周辺にもたくさんのカメラをとりつけており、どうやら近辺には3体の【ヤツ】が潜んでいる様子。
末っ子を亡くした悲しみからなのか希望を繋ぐためなのか母のお腹は大きく新しい命を宿しています。
音をたてたら殺されるので食事も大きな葉っぱを皿代わりにしたり工夫して頑張る家族ですが、やはり憔悴しています。
長女は末っ子の死に責任を感じている様子で父親とすれ違い気味。
長男は気弱で【ヤツ】に一番怯えています。
観客も思わず息をひそめ、ポップコーンをポリポリ食べたりとか出来ない雰囲気です。
映画に入り込めないとここらへん眠くなりそう…。
再び秋。
母のお腹もだいぶ大きくなり、出産予定日が近づいてきました。
父は息子に生きる術を教えんと川での魚採りに誘います。
「やだよ音を出したら殺されるよ!」と抗う長男、「私が行く」と立候補する長女。
しかし父は「お前は母さんを見ていてくれ」と長女を残し長男と共に出かけていきます。
まぁ臨月だし母を一人にしない方がいいよね…と観ていましたが、長女は一人で出かけます。
えぇーお母さんの傍にいてあげて…。
父と息子はゴウゴウ音をたてる滝の傍で「ここなら川の音の方が大きいから大丈夫だ」と久しぶりに普通の声量で会話をします。なんか大きい音の基準がよくわかりません。
「お姉ちゃんは自分は愛されていないと思ってるよ」みたいに父に告げる息子。
すれ違ってる自覚はあるけど上手く娘と向き合えない父。
家路につく2人は森の中で老人男性に出会います。
無言なのは当然ですが何だか様子がおかしい…。
ふっと下を見ると、男性の妻らしき老女の死体が!
声に出さず驚く父と息子。
いろいろ限界だったのか、老人は「アーーーーーーーーーーー!!!!!」と絶叫します。
猛ダッシュでその場から逃げる2人。
老人は当然、俊足な【ヤツ】に襲われてしまうのですが…。
その頃の長女。
次男が最期に遊んでいたロケットを持ち事故(?)現場へ向かい供えます。
そしてそのままうたた寝します。えぇーーーー…お姉ちゃんほんと間が悪い…。
家の中に一人残されていた母はいきなり破水します。
タイミングわっるい!
そしてさらに出産の準備をしようと階段で地下に降りる際に、飛び出た釘がグッサーと足にぶっ刺さります痛い痛い痛いこのシーンが私は一番ダメでした想像できる他人事でない痛みに弱い…!
釘を踏んだ時にガラスも割ってしまい、そこへすかさず【ヤツ】もやってきて陣痛の痛みやら足の痛みやらに必死に耐える母。
どうにかこうにかバスルームに到着しバスタブの中でヒッヒッフー。
家の中をうろつきまわる【ヤツ】の影がチラつく中、声を殺していきみます。
以下、ネタバレあり感想
【何か】から逃げ切った父と息子は、家の外に張り巡らされた電飾が緊急事態を知らせる赤になっていることに気づき警戒を強めます。
「お母さんを助けるために花火をあげて【ヤツ】の注意を逸らせ!」と父。
出来ないよ!と弱気な息子でしたが、母を助けるために決行。
ハッと目を覚ました娘もすっかり暗くなっていることに驚き急いで家に帰ろうとします。
いよいよ出産!という時。
さすがに「アーーーーーーーー!!!!」と声を上げてしまう母。
すぐに【ヤツ】が現れますが、直後に長男が打ち上げた花火の爆音に方向転換。家の外に向かいます。
どうにか無事に出産した母はちゃっかり用意していたらしい防音の地下室に移動し赤ん坊と共にぐったり。
父もかけつけますが、子どもたちがまだ外にいると知り「子どもたちを守れなかったら意味がない」と救出に向かわせます。
そして重ね重ね不運?が続き地下室が浸水。
母はまた元の家に移動します。
娘と息子は合流していましたが、蟻地獄のような穀物サイロに落ちたり脱出しようとする際に音を立ててしまい【ヤツ】に見つかりピンチ。
しかし娘の補聴器からキィィィィィィィィィンンンンンと高音が鳴り出し【ヤツ】はその音を嫌がり退散。
が、補聴器を切るとまた【ヤツ】が現れ再度ピンチ。
そこへ子どもたちを助けんと現れた父は「愛している」と子どもたちに伝え自ら声をあげ囮となり命を落とします…。
一方、母。
赤ん坊は当然ふぇぇ、と泣きそうな状態で、嗅ぎつけた【ヤツ】も地下室に侵入し大ピンチです。
ここで【ヤツ】の全貌が明らかになるのですが、人間よりもまぁ大きく海の生き物的な…カニ…?貝…?…あと人間の耳(内部)を連想させるような造形で…音を拾おうと耳の内部的な部分がちょっとヒクつく雰囲気でクリオネのようにカッパーと頭部がパーン開いたりするのですが正直怖く…なく…。
そして母と赤ん坊を助けにきたかけつけた姉弟の、姉が補聴器で【ヤツ】が苦しんだことを思い出し補聴器をマイク近くにセット。
増幅した高音のキィィィィィィィィィンンンンンに苦しむ【ヤツ】の頭部を、母はショットガンで撃ち抜きます。U・S・A☆
そして地下室にとりつけたカメラには、音を聞きつけて家に向かってきている残り2体の【ヤツ】の姿が…。
娘は補聴器を手に、母はショットガンを手に、殺る気満々な表情を見合わせます。お父さんの仇とったるで…!
女子つよい。息子の存在感が消えた…。
ツッこみどころにいちいちツッこむのは野暮だとは思うんですが、人類を滅ぼしかけている敵である【ヤツ】がちょっと弱すぎるしと怖くないという点はさすがに気になりました。そこ妥協したらダメなとこ!
あれぐらいだったら人類もっと早くどうにかできたんじゃ…。いや、出来たよね…。
ホラーだと思って怖さを求めて観るとちょっと肩すかしかなーと思いましたが、スリラー、家族愛映画だと思って観るとまぁ…良いかなっと。
とりあえず飛び出た釘は踏みたくないなと思いました。