レビュメモ!

映画・舞台・本のレビュー。ネタバレありの時はその旨表記します。映画と漫画と美味しいものがあれば大体しあわせ。

飲んだくれからモンペまで「2021年9月に観た面白かった映画」

かなり久しぶりの更新ですが、映画は観続けていました。

上半期まとめにも遅すぎる時期なので今月観た面白かった映画を。

備忘録的にぼちぼち更新していけるといいなという希望だけはあります。

 

 

 

アナザーラウンド

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2020年製作/115分/PG12/デンマーク

冴えない高校教師マーティン(マッツ・ミケルセン)が同僚3人と「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という哲学者の理論を確かめる実験をする話。

哲学者の理論であり医学的根拠がないからこその実験な訳ですがおおむね観客の予想通りに「実験開始→成功→調子に乗ってやり過ぎる」という展開になります。

生徒からは「授業の意味が全くわからない」と言われ生徒の保護者からは「大学進学のためこのままじゃ困る」と言われ妻や子どもとも何だか距離を感じる…といった行き詰ったマーティンがアルコール濃度を0.05%に保つようにするとアラ不思議!ユーモアを交えた楽しい授業で生徒からも好かれ、奥さんや子どもともいい感じに!となるのですがその成功体験から「もっと、もっと」とアルコール濃度を上げていってしまうんですね。

結果、奥さんに素面であれば言わないような酷い言葉を投げつけてしまったり更に悲惨な出来事が起こったり…。

悲惨な出来事が起こるわりに「アルコールこわい」では終わらない、一見キレイにまとめてるけど「ちょっと待て?」とツッコみたくなるラストも飲んだくれて踊りまくるマッツ・ミケルセン(北欧の至宝)が絵になってるのでまぁいっか…?と納得しそうになる謎の説得力がありました。

 

 

 

子供はわかってあげない

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2021年製作/138分/PG12/日本

やさしい世界だけどそんなやさしい世界がスッと胸に入ってくる映画。

複雑な家庭環境だけど「そう見えない」とよく言われるほど家族仲よく明るく暮らしている美波と、好きなアニメの話で意気投合したもじくん。

ちょっとしたきっかけから美波の元の父の行方を捜すことになり…というストーリー。

美波ともじくんの恋、もじくんのお兄さん、消息だけ知るとヤバ気な美波の元のお父さんの描き方まで全てやさしくてでも美波にも胸に秘めたものはあって…。

やさしい気持ちになりたい時に観たい映画でした。

美波(上白石萌歌)のほっぺたでたこ焼き作りたいとか千葉雄大本領発揮だなとか見どころもたくさん。

「南極料理人」の沖田修一監督作品と知りなんだか納得(「南極料理人」も大好きです)

 

 

 

 

浜の朝日の嘘つきどもと

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2021年製作/114分/G/日本

福島県にある閉館が決まった歴史ある映画館を建て直すべく東京からやってきた茂木莉子(明らかに偽名)と名乗る女性が支配人と共に奮闘するという話。

映画好き、映画館好きにより響くけどそうでもない人にも面白いのでは?と思います(大久保佳代子がいい味出してるし)

あらすじだけ聞くと震災復興を絡めた感動作かな?という雰囲気ですが、感動の押し付けという感じはなく全体的にゆるめ、でもシビアな面はもちろん、笑いどころも多々ありで面白かったー。

これからも映画館にお金を落としていこうと思いました。

 

 

 

空白

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2021年製作/107分/PG12/日本

スーパーで万引きをした女子中学生をスーパーの店長(松坂桃李)が追いかけたら女子中学生が凄惨な交通事故に遭い死亡し娘を失った父親(古田新太)がモンスター化しマスコミや学校の悪意ある誘導により店長を追い詰めまくっていくという松坂桃李がひたすらかわいそうな話。

見終わってから次の日まで重い気分を引きずり今ポスターの土下座する松坂桃李を見ても「やめたげてよぉ!」という気持ちになります。

いや娘を失った父親も気の毒なんですが怖さが先に立って…このキャスティングは見事。

内容も「事故のショックによって温厚だった父が…」とか「明るかった店長が嘘のように沈み込み…」みたいなパターンではなく、この父親は元々モンスター気質であり店長も流され体質なんですよ。もともと相性よくないと思われる2人なんですよ。

それが事故によって嫌な化学反応を起こし悪いほうに悪いほうに進んでいくという。

メインの2人もそうですが「悪気なく善意の押し付けをするスーパー店員」「女子中学生を撥ねてしまい責任を感じまくる女性」「いじめ調査をしない学校」「インタビュー内容を切り取りし面白おかしく放送するマスコミ」など「いるいる、ありそう」な人物や事柄がいっぱいでしんどいです。

どう収拾をつけるんだろうと思いながら観てたら希望が全く見えない訳ではない終わり方で少しほっとしたんですが、脇役ゆえにその後がわからないボランティア女性(寺島しのぶにパワハラ受けてた人)がどうなったか地味に気になります。

 

 

 

Summer of 85

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2020年製作/100分/PG12/フランス

フロンソワ・オゾン監督が若かりし日に読み影響を受けたという小説「おれの墓で踊れ」を映画化したもの。

16歳のアレックスはヨットの転覆から救出してくれた18歳のダヴィドと友情を深めやがてひと夏の恋をする。

ダヴィドと「どちらかが先に死んだら残された方はその墓の上で踊る」と誓いを立てたアレックスは不慮の事故で亡くなってしまったダヴィドとの約束を果たすが…。

と、約束を果たした後まで描かれています。

少年同士ですが同性であるが故の葛藤とかはなく、10代の恋の喜びとぶつかり合いが青くて痛くて美しい映画でした。

そして少女漫画やBL漫画を描く人はダヴィドとアレックスを模写して絵の練習をするとよいのではと思ったほど二人が美少年でした。

 

 

 

テーラー 人生の仕立て屋

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2020年製作/101分/G/ギリシャ・ドイツ・ベルギー合作

アテネで長年父親と共に高級スーツの仕立て屋の店を営んできたニコス。

しかし不況で店は潰れかけ、父は入院し八方塞がり。手作り屋台で移動式の仕立て屋を始めるが売れず、ある日ウェディングドレスの注文を受け…。

このあらすじとポスター、ドラマティックで感動しそうでしょう?

確かに感動したんですけど、演出が地味というか派手じゃないんですよ。

色んな事が起こる割に淡々とニコスの日々が描かれます。

そこが私は好きだったけど物足りないと感じる人も多いだろうなと思ったので派手さはそんなに求めないという方にお勧めしたい作品。

 

 

 

2021年9月はこんな感じでした。

10月もよい映画に出会えますように!

 

 

 

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