観終わった後に気持ちが重くなる映画が多い10月でした。
でもそういう映画って自分に置き換えて色々考えさせられたり気づきになることが多いですよね。
まだ観れてない作品もあるので間に合えば11月に鑑賞したいです。
2021年10月面白かった映画4選
由宇子の天秤
2020年製作/152分/G/日本
3年前の女子高生いじめ自殺事件の取材をしているドキュメンタリーディレクターの由宇子はマスコミに都合よく映像を編集しようとする制作テレビ局と衝突しながら遺族へのインタビューを繰り返している。
誰かの味方をするのではなく公平な立場で真実を追求したいと考えていた由宇子だが、父親の思いがけないやらかしにより「真実の追求・開示」が我が身に降りかかり彼女の中の天秤は揺らいでいくーーーーーーという話。
「女子高生いじめ自殺事件(他人事)」と「父親のやらかし(自分事)」への由宇子の向き合い方とか、世間に知られてしまった事件の当事者・関係者に対する世間の厳しい目とか「もし自分だったら」と自分の天秤もグラングランさせながら観たのでしんどいです。
先月観た「空白」でもそうだったけど面白おかしさと自分たちの保身だけを考えたマスコミの映像編集の描写もあり実際にどのレベルの印象操作されてるのかなぁとも思い胸クソ悪い。
モヤモヤするけど自分の中の天秤と向き合う良い機会になる映画。
TOVE トーベ
2020年/103分/G/フィンランド・スウェーデン合作
ムーミンの作者・トーベ・ヤンソンの激動の30代~40代を描いた作品。
トーベは油絵で芸術家として認められたいと熱望していたが世間に求められたのは息抜きで描いていたムーミンだった。
著名な彫刻家である父親に「それ(ムーミンのイラスト)は芸術なのか?」と言われたり奔放な女性の恋人に振り回されたり反対に男性の恋人を振り回したり、サラリと描かれるけど女性の身で自由に生きるというのはあの時代とても大変でパワーが必要なことだったんだろうなぁとトーベのバイタリティに驚かされます。
トーベ含め登場人物に芸術家が多い為か皆フリーダム。
トーベがやり場のない熱を発散するようにダンスをするシーンが何度かあるんですがエネルギッシュで。
エンディングではリアルトーベのダンス映像もあるんですが映画に負けないパワフルダンスでした。
ムーミンのキャラクターのモデルについても数人登場しますが日本のアニメ版ムーミンのようなファンシーな世界観を持ってみるとイメージと違う…となる人もいるかもしれません。
アイの歌声を聴かせて
2021年製作/108分/G/日本
いつもひとりぼっちの女子高生・サトミのクラスに転校してきたシオン。
シオンは突然サトミに「サトミ、今、幸せ?」と話しかけ歌い始める。
突拍子のない歌唱に「この子可愛いけどちょっとおかしいのでは?」と引き気味なクラスメイト。
シオンは構わずにサトミに話しかけサトミを幸せにしようと斜め上な行動を始める…という話。
ポスターでも予告でも明らかにされているけれどシオンはAIです。
とある実験の為に1週間ロボットであることがバレないように高校で過ごさなければならないポンコツロボットなのですがそれ故にいきなりの歌唱や突拍子のない言動にも納得ですしむしろ段々慣れていくのでミュージカル的なシーンも違和感なく観れます。
「サトミを幸せにする」という命令やプログラムは組み込まれていいないはずなのにどうしてシオンはサトミを幸せにしようとするのか?
そもそもどうして「歌う」のか?
そういった疑問も綺麗に伏線回収しながら明らかになっていきます。
AI×アニメ×ミュージカル×青春×友情×恋×SFという字面だけ見るとてんこ盛り過ぎてヤバい雰囲気ですがきちんと作られていてシオンを演じている土屋太鳳もすごく良かったです。
何の気なしに観に行って予想外に泣いてしまいました。
死霊館 悪魔のせいなら、無罪
2021年/112分/R15+/アメリカ
1981年、家主を刃物で22回刺し殺害した青年アーニーが犯行理由を「悪魔に取り憑かれていたせい」だとし無罪を主張。
心霊研究家ウォーレン夫妻はアーニーを救うべく悪魔の存在証明のため動き出す…。
というストーリー。※実話を基にしています。
悪魔の存在証明というより「その悪魔を誰がどういう目的でどのように召喚したのか」を解明していく謎解きがメインになっていき一番怖いのはエンディングの実際の悪魔祓い(エクソシスト)の儀式の音声だったりするんですが程々な怖さとウォーレン夫妻の夫婦愛で総合的に好き。
悪魔を召喚する儀式に必要な祭壇とか動物の頭の骨みたいなのとか儀式が失敗した時の代償とかにワクワクしたけど怖さという部分ではもうちょっと禍々しいオカルト要素がほしかったかなぁとも思います。
悪魔祓いといえば映画「エクソシスト」の360度首回転があまりに有名ですが今作では痛覚のない新体操選手のように体があらぬ回転とねじりをしていました。
安定の死霊館シリーズでした。
見応えがあった映画4本
燃えよ剣
2021年/148分/G/日本
岡田准一演じる土方歳三がインタビュー形式でバラガキ時代(触るとイバラのように怪我をさせる乱暴者のガキ)と新選組の結成と全盛期、解散の6年について語る。
ちょっと血生臭い教科書を映像で読む感覚で「新選組」「幕末」について時系列で知ることができます。
個人的にこの映画ぐらいの殺陣が地味過ぎず程よい派手さもあり好きなので見ていて楽しかったのと、出演俳優・芸人含めキャラが立っていたのと小説原作ならではの刀剣エピソードがあって楽しく観れました。
殺陣が上手い役者は多いですが「人を殺す殺陣」は案外少ないと思っていて岡田准一は人を殺しつつ魅せる殺陣が出来る役者だと思います。
新選組が黒ひげ危機一髪みたいに一人を多勢でブッ刺すの容赦ない。
DUNE/デューン 砂の惑星
2021年/155分/G/アメリカ
西暦1万190年の宇宙帝国。
名門アトレイデス家は皇帝の命を受け砂の惑星デューンを統治しようとするがデューンで採れる希少な香辛料(スパイス)をめぐり宿敵ハルコンネン家と皇帝の陰謀により当主は命を落としその息子ポールは母と共に命からがら脱出をする。
ポールには不完全ながら不思議な能力があり…。
以下続く、という内容。
映像とティモシー・シャラメの美形ぶりが凄かった。
物語の序盤過ぎて評価が難しいので続編も観てみようと思います。
MINAMATA
2020年製作/115分/G/アメリカ
アメリカの写真家ユージン・スミスはある日アイリーンと名乗る女性から熊本県水俣市のチッソ工場から垂れ流される有害物質によって苦しんでいる人々を撮影してほしいと頼まれる。
水俣病について勉強になったし重いだけではなく映画としての面白さと見応えもありました。
観てよかった。
護られなかった者たちへ
2021年/134分/G/日本
東日本大震災から9年後の宮城県で、凄惨な連続餓死殺人事件が起こる。
いずれも善人・人格者と言われた被害者2人はどうして餓死という方法で殺されたのか?
やがて利根という容疑者が浮かび上がるが…。
生活保護についてもっと知ろうと思えたので観てよかったです。
「護られなかった者」と「護ることができなかった者」の映画。
めっちゃ泣かせにくる映画
そして、バトンは渡された※微ネタバレ含みますので注意
2021年/137分/G/日本
4回苗字が変わり母親が2人、父親が3人いる優子はいつも笑顔を絶やさない明るい子。
いつも笑顔すぎて女子からは敬遠されたりもするけれど優しい料理上手な義理の父・森宮さんと2人楽しく過ごしている。
卒業式のピアノ演奏を任された優子は猛特訓の日々。
隣のクラスで同じく演奏者に選ばれた早瀬くんが気になるけれど彼には恋人がいる模様。
高校を卒業後、偶然再会した早瀬くんと付き合うことになりやがて結婚を決意した2人は「親めぐりの結婚報告あいさつ」をすることになる。
そこで2人目の母親・梨花の秘密を知ることになり……。というストーリー。
ファンタジーとして観ると良い話…と思いながらもいくつか「それってどうなの」とモヤる部分がありつつ何だかんだで泣きながら観てしまったので泣かせにくる力が強い。
でも私の場合はもう一度観たらかえって泣かないと思います。
映画なので義理の父親みんないい人すぎるとか奇跡のようなバランスでハッピーエンドに向かっていくというのはいいとして観終わってから振り返ると「大人が愛情を理由に優しいこどもを振り回していた話」のように思えたのと「家族の形は色々だよ」と価値観のアップデートを促すような形を取りつつ「血のつながらない子ども「なのに」深い愛情を注げる女性は素晴らしい」「ゆくゆくはしかるべき男性に娘を嫁に出し幸せにしてもらうようにするのが父親の務め」という固まった前提があるのに矛盾を感じるというか。
愛情があれば何やってもいいってもんでもないというか梨花さんを美化しすぎでは?とも思いました原作ではどういう描かれ方をしてるのかな。
中盤までは優しい世界という感じで観てたけど終盤からちょっとズレた世界に見えてしまった作品でした。
でも泣かせる力は強いしピアノの使い方も良いし永野芽郁ちゃん可愛かったです。
どうしてこうなった映画
CUBE 一度入ったら、最後
2021年/108分/G/日本
気づいたら立方体に閉じ込められていた6人の話。
言いたいことは色々あるけどとりあえず どうしてこうなった。
2021年10月に観た映画はこんな感じでした。
11月もよい映画に出会えますように!