今更ですが2022年1月に観た映画まとめです。
映画はフィクションであれドキュメンタリーであれ作り手の主観が入るので内容を「これはそういうことなんだ!」とまるっと全部受け止めることはしないようにしているんですが、それでも知らなかったことを少しだけど知り得たり、ある視点でこういう風に捉えられている物事があるんだと自分の世界が広がるきっかけには確かになると思っています。
観た後に色々考えることが多い作品が多い月でした。
2021年まとめはこちら↓
2022年1月に観た面白かった映画
アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド
2021年製作/107分/PG12/ドイツ
あらすじ
研究資金を稼ぐためにある企業が実施する極秘実験に参加することにした学者・アルマ。その実験とはアルマを幸せにするためにプログラムされた高性能AIアンドロイド・トムと3週間ともに過ごすというものでーーーーーーというストーリー。
ラブロマンスかと思ったら「人間とAIのコミュニケーションとは…」と色々考えさせられる作りになっていてドイツ映画っぽい。
トムは姿かたちから言葉のアクセントまでアルマの好みを反映されて作られているんですが、ヘッポコな部分(湯船に大量のバラを浮かべてキャンドルを灯し「ドイツ女性の93%の理想のシチュエーションだよ」とドヤ顔しアルマに「私は残りの7%よ」と呆れられ自分がバラ風呂に入ったり)もありかえってそのヘッポコな部分が可愛くてヤバいと思いました。
アルマは過去の恋愛に傷を持っていたり認知症の父親の心配があったり現実逃避したいことも多いだろうに「どんなにトムが魅力的でも彼はアンドロイド。プログラム!」と頑なに線引きをしようとします。
美人だけど若いとは言えない、おそらくこれまでも気軽な恋愛はしてこなかったんだろうなという生真面目なアルマとアンドロイドと言われればそう見えるハンサムなトムのキャスティングがぴったり。
この実験にはアルマ以外も参加者がおり、62歳の男性と若い女性のアンドロイドのカップルも出てきてそちらは「彼女は僕を癒してくれた。彼女だけが僕のそばにいてくれる。彼女とずっと過ごせるように企業にかけあうつもりだ!」とアルマとトムとは真逆な感じに上手くいっているんですが、自分だったらどうなるかなと考え「心の底で「AIなんだよなぁ」と思いつつアンドロイドと一緒にいるだろうなぁ」という結果に。
プログラムされたものであったとしても自分を幸せにしようと一生懸命になっているアンドロイドに絆されない自信ないわ…。
クレッシェンド 音楽の架け橋
2019年製作/112分/G/ドイツ
あらすじ
紛争中のイスラエルとパレスチナから若者たちを集めてオーケストラを編成し平和を祈りコンサートを開くというプロジェクトに参加した著名な指揮者エドゥアルト・スポルク。オーディションを突破した20数人の若者たちはぶつかり合い、スポルクはコンサートまでの21日日、彼らを合宿に連れ出す。心の内を吐露しさらに激しくぶつかり、少しずつ歩み寄る若者たちだったがある事件が起こり…。
という、実在するユダヤ・アラブ混合の管弦楽団に着想を得たという作品。
イスラエルとパレスチナの紛争について知ってはいてもその根深さやその国の若い世代はどう感じているかという知識なく観たので重い気持ちになりました。
紛争により親族や友人が亡くなっているか、それを語る人が身近にいるかによっても変わってくると思うんですが銃撃戦の発砲音が響く中で催涙ガスに抗う為に玉ねぎの匂いを嗅いでバイオリンの練習をしたりオーディションを受けに軍の検問を受けるのさえ言いがかりをつけられたり不自由な生活の中でさらに不満や憎しみも募っていくんだろうなと。
使用されているクラシックはどれも聞いたことがある有名な曲ばかりで馴染み深いですし、悲しいだけのラストではないけれど決して甘くはない。
色々な国で公開されているのに当事国では上映されていないらしいのが何とも。
数十年後やいつかの未来にイスラエル・パレスチナでもこの映画が上映されることを願います。
イスラエルとパレスチナといえばもう1本
イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブはニューヨークで暮らしている。父と母は愛し合ってはいるけれど宗教や文化など根深い溝がある。エイブは自分にしか作れない料理で父と母、その家族をひとつにしょうと奮闘する…という料理の架け橋的なお話。料理がとても美味しそうだし「クレッシェンド」ほど重くないのでとっつきやすいかと思います。
スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム
2021年製作/149分/G/アメリカ
あらすじ
前作で倒したミステリオが残した映像が世界に公開されたことで非難を浴び正体も暴かれてしまったピーター。マスコミに追われ、家族や恋人、友人たちに危機が及ぶことを恐れたピーターはドクター・ストレンジに協力を求め魔術の力で自分がスパーダーマンだと知られていない世界にしてほしいと頼むが…。
スパイダーマン祭りyeah!という感じで楽しかったです。
マーベルヒーロー作品て壮大で面白いけど途中で「ちょっと長いな」と感じることもあるんですが今回はそういうこともなく最後まで中だるみせず観れました。
ドクターストレンジが出てくるのも嬉しかった。
ラストが切ないけどこれから頑張ってどうにかなってほしい。
コーダ あいのうた
2021年製作/112分/PG12/アメリカ・フランス・カナダ合作
あらすじ
耳の聞こえない両親と兄と共に海の町で暮らすルビー。
家族の中で一人だけ耳が聞こえる彼女は家族の耳の代わりとなり学校に通いながら家業の漁業も毎日手伝っている。
新学期になり合唱クラブに入部したルビーは顧問の先生に歌の才能を見出され名門音楽大学の受験を勧められるがルビーの歌声が聞こえない両親に大反対され…。
タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults= “⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども”」のこと。
両親も兄も中々にブッ飛んでいてエネルギッシュ。耳が聞こえていたとしてもこのクセのある家族と暮らすのは大変だろうなと感じさせて変に同情的に描かれていないのが良い。
母親がルビーに「あなたが生まれた時、耳が聞こえないでいてほしいと思った。耳が聞こえるとわかりあえないと思ったから」と告げるシーンでそう思うほどに母親はこれまでの人生で「わかりあえない」と思うことの連続だったのだろうと思うと切なくなりました。
音楽、ルビーの歌声もとても良いのでルビーの大舞台(学校のクラブ発表会)で大盛り上がりで歌う場面で無音になり周囲の歓声と切り離された、家族の聞こえない世界を体感させるのも上手いなぁと。
どこがどうハマらなかったのか「いい話だな」とは思っても感動まではいかなかったのですが、ストーリーも音楽もとても良く「あれ、感動しない私冷たい…?」と不安になるくらいいい映画でした。
前科者
2022年製作/133分/PG12/日本
あらすじ
保護司・阿川佳代が担当する前科者の工藤誠は順調な更生生活を送っていたが保護観察終了前の最後の面談に現れず、殺人容疑で再び警察に追われる身となってしまう。
工藤を追う刑事・滝本は阿川の中学時代の同級生。
滝本と再会し、阿川の過去や保護司として働く理由が明らかになっていく。
保護司という仕事は知っていたけど、それが非常勤の国家公務員で給与は支給されず民間のボランティアによって成り立っているということを知りませんでした。
保護観察中に問題を起こしてしまうと更生への道がさらに難しくなってしまうということで、問題を起こす前科者へ「あなたは崖っぷちにいます」「落ちたら助けられなくなります」と真摯に向き合う阿川の過去。
寡黙な前科者・工藤誠の過去。
犯罪者を憎む滝本の過去。
それぞれの向き合い方。救い救われ救ったことで救われて。
阿川と阿川の初めての保護観察対象者で今も交流のあるみどりとのやり取りが良い。
重いけれど難解ではない、シンプルに良い映画でした。
その他に観た映画いくつか
フタリノセカイ
2021年製作/83分/PG12/日本
保育士のユイは実家の弁当屋を手伝う真也と出会ってすぐに恋に落ちる。
やがてユイは真也が体は女性、心は男性のトランスジェンダーであることを知る。
愛し合う2人は数年同棲をするも子どものこともありお互いに心を残したまま別れ、ユイは新しい恋人と結婚をするが子どもに恵まれなかった。
偶然再会したユイと真也は再び一緒に生きる選択をする。
子どもを望む2人はある決意をするが…。
真也を女性ではなく男性が演じているんですが、シスジェンダーであるユイは真也が男性だと思い恋をして真也がトランスジェンダーだと知った後も葛藤し「私はレズじゃない」と言ったり最終的に色々受け止め方が変わったとしてもユイから見た真也はこうなのかなと曖昧に解釈しました。
子どもを望むか望まないかは性別に関係なく人それぞれで、結婚すれば当然子どもが出来て産んで育てるのだと考えている人もいて、男女のカップルで子どもを望んでも出来ないことはある。
どうしても血を分けた我が子がほしいと望む人もいれば養子を育て慈しむ人もいる。
子どもを望むユイと真也が大きな決断をしていてその選択にびっくりしたんですがそれは血の繋がりを求めた結果なのかユイと真也では特別養子縁組ができないからなのか想像するしかなく。後者だとしてもそうでないとしても同性カップルに特別養子縁組が出来るようになればいいなと思います。
ノイズ
2022年製作/128分/G/日本
あらすじ
過疎化に苦しむ孤島。しかし島の青年・泉圭太が生産する黒イチジクが話題を呼び特別給付金5億円の支給がほぼ決まるなど島民たちに明るい兆しが見えていた。
しかし突然島にやってきた小御坂という不審人物を圭太が誤って殺してしまったことで歯車が狂っていき…。
序盤と中盤がまぁまぁ盛り上がったのにみるみる尻すぼみになり「結局そんなオチなんかーい」と不完全燃焼感がありました。
余貴美子と榎本明がワチャワチャしてるところが個人的ピーク。
映画演劇サクセス荘 侵略者Sと西荻窪の奇跡
2021年製作/95分/G/日本
成功を夢見る若者たちが住み、いつか必ず夢をかなえて巣立っていくと言われているアパート「サクセス荘」。そこには、芸人、漫画家、占い師、料理人など、ジャンルは違えど、それぞれの分野で成功したいと夢を抱く個性的な住人たちが暮らしている。そんなサクセス荘の隣にマンション「グローリータワーレジデンス」が建ち、そこに暮らすセレブ集団・通称「S4」が、アパートの住人たちに立ち退きを要求してくる。サクセス荘の平和な日々は一変し、アパート存続の危機に住人たちは揺れ動く。
「テレビ演劇」と題して、2.5次元俳優たちが本番一発勝負の演技に挑戦するテレビ東京の人気ドラマシリーズ「テレビ演劇 サクセス荘」を映画化。
ー映画.comよりー
イケメン版・吉本新喜劇~スペシャルゲストを添えて~
ドラマシリーズは見てなかったんですが芸人を目指すゴーちゃんとか英国貴族になりたいサーとか人気YouTuber目指すアンテナとか各々キャラが濃くストーリーもわかりやすいので初見でも置いて行かれるほどもなく。
ギャグのノリが合っていたようでスパイスマンで笑ってしまいました。
目の保養をしつつゆるっと観るのに丁度良かったです。
番外編
劇場版舞台刀剣乱舞 義伝暁の独眼竜
2022年製作/196分/G/日本
西暦2205年、歴史改変をもくろむ歴史修正主義者たちが過去への攻撃を開始。歴史を守るために生み出された「刀剣男士」たちは、戦いに身を投じる。ある日、刀剣男士たちに出陣の命が下りる。出陣先は、慶長5年(西暦1600年)、徳川家康率いる東軍と、毛利輝元・石田三成らによる西軍とが激突した、天下分け目の大合戦、関ヶ原の戦いだった。
ー映画.comよりー
一作目の「虚伝 燃ゆる本能寺」に続く作品。
独眼竜=伊達政宗の野望と細川忠興や家臣・片倉景綱との絆やその後も続く両家の縁、その刀剣たちのあれやこれや。
日本史に疎くても劇中でわかりやすくその時代のことや武将同士の関係性などさりげなくわかりやすく説明してくれるし殺陣も見応えがあるのでちょっとでも興味を持ったひ人は観てほしいシリーズです。
繰り返される本能寺の変。
三日月宗近の意味深な言葉。
最新作まで観た状態で劇場版を振り返って観ると伏線の数々に「うぁあ…」って頭を抱えてしまいます。
円盤を持っているんですが、一作目より更に劇場版として特別編集された感じで違いを見つけるのも面白かったです。
2022年1月に観た映画はこんな感じでした。
2月も面白い映画に出会えますように!