2月は見応えがあった映画は内容が重く、楽しそうだと思って観た映画がそうでもなく不完全燃焼感がある月でした。
あまり本数も見れず残念。
2022年1月まとめはこちら↓
気を取り直して
2022年2月に観た面白かった映画
グレート・インディアン・キッチン
2021年製作/100分/G/インド
あらすじ
お見合い結婚をしたインド女性。夫は由緒ある家柄の出身で昔ながらの邸宅に住み伝統を重んじる。妻は教養もあり結婚前はダンスを習い生き生きと生活していたが、結婚を機にひたすら台所と寝室で夫と義父に尽くすだけの毎日を強いられるようになる。
味が落ちるから炊飯器で米を炊くなと言われ、服が傷むから自分の分は手洗いするようにと悪気なく言い放つ義父。歯ブラシと歯磨き粉も妻や義娘に持ってこさせる。
レストランでは食べかすを皿にまとめるのに家ではテーブルにポイ捨てしそれを指摘されると逆ギレする夫。
生理中は不浄扱いされ転倒した夫を助けようと触っても「何するんだ非常識な!」と怒鳴られ狭い部屋に隔離される(でも台所と寝室には行かずに過ごせるのである意味平穏)
実母に相談しても「結婚したんだから当然。伝統を重んじる良いお家だわ」と突き放される。
観ていてもう本当にイライラするししんどい。
主人公が作る料理はどれも美味しそうなのに食欲が湧かない。
ここまでではなくても日本や他の国でも似たような問題はあるので人ごとではないんですよね。
主人公は一人でも生きていく術を持つ、教育を受けた女性なのでいよいよになると立ち向かっていくんですが一人では生きていく術がない貧困層の女性はどうにもしようがないのでは?とも思いました。根深い。
声もなく
2020年製作/99分/G/韓国
あらすじ
表向きは鶏卵販売をしながら犯罪組織からの死体処理を請け負い生計を立てている口のきけない青年・ティン。
ある日犯罪組織のヨンスクから身代金目的で誘拐した少女を1日預かるように言われるが、翌日ヨンスクが組織に始末されてしまいなしくずしにそのまま少女と過ごすことになる。
両親に身代金を払ってもらえない少女チョヒとティンと、ティンの妹。3人の疑似家族のような生活が始まる…。
ティンは裏の仕事はしているけどそれは十分な教育を受けられる環境にいなかったためと思われ、その環境故に色々感覚が麻痺し、でも自ら人を殺したりはしないような、誘拐され両親からも見放された少女を放っておけない優しさは持っていて、男の子ではなく女の子であるが故に親に身代金を払ってもらえないチョヒは生き延びる為に賢く行動し部屋を綺麗にし食事の順番を守り死体に土をかけるけれどティンが自分を傷つけることはないとわかっている。
ちょっと優しい奇跡が起きないかなぁと思いながら観ていたけれど罪は罪なんですよね。そのあたりが韓国映画はとてもシビア。
このラストが正しいんだってわかっているけど辛っ…。
ラストは個人的に辛かったけどティンを演じたユ・アインの演技をはじめうさぎのお面などの小物の使い方や空の映像などすごく良かったです。
鈴木さん
2020年製作/90分/PG12/日本
現人神である「カミサマ」を国家元首にいただく、「美しいカミサマにふさわしく美しく生きよう」とする某島国のとある町。その町では市民投票により45歳以上の未婚者は市民権を失うという条例が制定された。市民権を剥奪された者は町を追放されるか軍に入隊してお国のために強制労働に就くかしかない。
介護施設を営む未婚のよしこはもうすぐ45歳になるが結婚相手はおらず町を出ていくにも入居してる老人を見捨てることが出来ず不安な日々を過ごしていた。
そんな時、施設に身元不明の中年男性が迷いこんできて…。
…というディストピア映画。よしこを演じるのはいとうあさこ。
45歳以上で未婚だと人権がないみたいな扱い。
映画の中ではハッキリと「この世界で美しく生きられない者を排除する側」と「この世界で美しく生きられず排除される側」が線引きされています。
「カミサマ」は20年前から姿を現さず年に1回、お言葉のみを国民に授けてくださる。
「カミサマ」の肖像画は上のポスター画像なのですが生まれた時から「カミサマのために美しく生きるべき」と教育を受けた若者ほどカミサマを信じ髪型を真似、美しく生きていない者(未婚者や老人やホームレス)を当たり前に虐げる。
ホームレスに暴行する動画を若者がサイトにあげそれを見た大人が「教育に良いからうちの子どもにもこういう動画を見せている」と悪びれる様子もないという恐ろしい世界なのですが現実にもそういうことをする層はいるし真逆に見えてとても近い世界なんだなぁと気付き遠い目をしてしまう。
胸糞悪く話が進み救いも見出せない。
演技も全体的に敢えて素人くさくさせ、テンポ悪めに撮っていると思われそこに気持ち悪さや違和感を感じさせようとしているのかな?と思います。
「面白かったー!」「この映画好き!」「おすすめ!」とかではないんですがこういう映画もあっていい。
その他に観た映画いくつか
ドリーム・プラン
2021年製作/144分/G/アメリカ
テニス未経験の父親が娘2人を最高のテニスプレイヤーに育てるべく独学でテニスの教育法を研究し78ページもの計画書を作成し富裕層の白人が主にプレイをするテニスの世界に金なし・コネなしで飛び込んでいく。
最初は誰にも相手にされなかったが父と娘は諦めずにプランを実行していきやがて…。
というお話。
78ページの計画書を作成しそれを実行する父と(リチャード)それに応える娘2(ヴィーナス・セリーナ)人がすごい。
最高のテニスプレイヤーにする為にあえて勉学を優先させローティーンでプロにさせないようにしたりテニスをしていない娘たちにもヴイーナスとセリーナ同様に「シンデレラが幸せになれたのは謙虚だったからだ」と教えたり芯が通っていてブレない父。
ブレなさ過ぎて周囲の人々は大変な目にあったり、娘2人は父の壮大なプランを受け入れているけどそれでいいのかなと思ったりもしたけど納得してるみたいだからいいのかな。父の多々ある問題点もちょいちょい触れられていていました。
似た感じの好きな作品でインド映画の「ダンガル きっと、つよくなる」があるのですがこちららも前向きな気持ちになれます。こちらはテニスではなくレスリングです。
ウエスト・サイド・ストーリー
2021年製作/157分/G/アメリカ
あらすじ
1950年代ニューヨーク下町版ロミオとジュリエット(ポーランド系移民「ジェッツ」VSプエルトリコ系移民「シャークス」)
「ジェッツ」の元リーダー・トニーは「シャークス」のリーダーの妹・マリアと運命的な恋に落ちるが周囲がそれを許すはずもなく…。というストーリー。
歌とダンスと映像さすがに素晴らしかったのですが、トニーとマリアの恋を応援する気が起きず感情移入できなかったので特に感動しませんでした。
一番かわいそうなのはマリアの兄の恋人アニータですわ。
とんでもない悲劇に見舞われたアニータに対してのマリアの言動がサイコパスかな?と思ったくらい自己中心的でいくら運命の恋に溺れているとはいえ「よりによってお前が言うな」ってセリフが多くて……。
歌とダンスと映像は本当に良かったんですが。
俳優陣ではアニータを演じたアリアナ・デボーズが特に良かった。
移民問題を絡めたミュージカル作品なら「イン・ザ・ハイツ」の方が好きだなぁ。
牛首村
2022年製作/115分/G/日本
あらすじ
とある恐怖動画で廃墟で牛の首のマスクを被せられたうえ行方不明になっている少女は自分に瓜二つだった。動画を見て以来何者かが傍にいるような不気味な感覚に襲われるようになった奏音は動画の撮影地に向かうが、そこで「牛首村」と呼ばれる村の忌まわしい風習を知ることになり…。
「犬鳴村」「樹海村」に続く「恐怖の村シリーズ」第三弾。
三作の中ではストーリーが一番しっかりしていたというか前作2作品とも恐怖設定を盛ろうとし過ぎてとっちらかっていたのが今回は焦点を絞っていたのでその点は良かったかなと思います。「樹海村」に至ってはコトリバコ先輩に謝れとすら思った。本家のコトリバコ先輩のおぞましさあんなもんじゃねぇぞ。
予想通りに話が進んでいくし衝撃のラストとかでもなくいかにもな終わり方をするんですが支離滅裂になるよりは…。
恐怖演出は幽霊というか怪奇現象たちの自己主張が激しすぎて一番怖くなかったです。心霊写真になのに生きてる人間と同じようにはっきり映りすぎてるみたいに怖いというより戸惑うというか「ここにいるよ…(震え声)」ではなく「ここにいるよ!」「ここに!いる!よ!」と怪奇がやる気満々に飛び出してアピールしてくる感じでちょっと笑ってしまいました。元気な青山テルマかな。
「犬鳴村」「樹海村」がちょっとアレだったので期待値を下げて観たのも良かったかもしれないですが、映画初出演のKoki,もちゃんとしてたし芋生悠はやっぱり上手いなと思いました。
大怪獣のあとしまつ
2022年製作/115分/G/日本
人類を苦しめた巨大怪獣は謎の光によって絶命した。
歓喜に沸く国民。
しかし直面する現実問題。
「怪獣の死体ってどう処理すればいいの?」
可燃物?生ゴミ?いや毒性がないならば観光資源にして儲けよう!…と政府は計画を進めようとしていたが、次第に腐敗・膨張していく怪獣の死体は大爆発の危険を孕み…。
という空想特撮エンタテインメント映画。
予告が1番面白かったパターン。ポスターもいい感じなんですが。
張り切って公開初日に観に行きました。
年に数作ある「その企画と製作費と出演者ならもっと面白く出来たのでは」と思わずにいられない作品でした。
意地悪な見方をすると「この製作費と出演者で敢えてB級映画を作ってみました(ドヤァ)」感があるのがイラッとするというかただのB級ではない「Aマイナス」「Bプラス」級の作品を狙って作ろうとしてC級になっちゃったみたいな雰囲気。
監督と笑いのツボが同じならメチャクチャ楽しめると思います。
とんでもラストは好きです。
「令和のデビルマン」とも言われているようですが、「デビルマン」は一生懸命作ったのが伝わってくるしツッコミながら楽しく観れるので好きな方です。
↓こちらも内容は大怪獣のあとしまつですがポスターを裏切らないくだらなさ(好き)
とことんくだらない映画が観たい時にぜひ。
番外編
劇場版舞台刀剣乱舞 ジョ伝 三つら星刀語り
西暦2205年、歴史改変をもくろむ歴史修正主義者たちと戦うため生み出された「刀剣男士」たち。山姥切国広率いる第一部隊は、調査のため、豊臣秀吉による小田原征伐の時代を訪れるが、本来そこにいるはずのない時間遡行軍の奇襲を受ける。歴史改変の対象ではない時代に、なぜ時間遡行軍がいるのか。まだ経験の浅い刀剣男士たちは困惑し、統率を乱していく。猟師小屋に身を隠した彼らは、やがて小田原征伐に参陣していた黒田官兵衛と長政の親子と出会うが、素性を怪しまれ、黒田の陣へと連行される。
ー映画.comよりー
2022年製作/193分/G/日本
刀剣乱舞の舞台作品(刀ステ)で一番ワクワクする作品。
これまでと比べて更に劇場版としての演出変更がありそこも楽しかったです。
黒田官兵衛といえば智将のイメージですが彼もまた戦国の戦人であったのだ…。
次回分から上演順ではなく時系列順での公開になるので新たな気分で見直したいと思います。
2022年2月に観た映画はこんな感じでした。
3月も面白い映画に出会えますように!