気づけば2023年2月になっていて放置具合にびっくりしています。
更新していない間も映画はずっと観ていました。
せめて2022年ベスト映画は書き留めておこうと自分なりにランキングにしてみたんですが、今年は①良くも悪くも心が動かされたか②自分の好みか③また観たいか④完成度が高く面白いかの順で評価してみたので若干癖が強いラインナップになった気がします。
「完成度が高く面白い」を第一にすると「トップガン マーヴェリック」が「RRR」と1.2位を争うくらい上位なんだけど色々と加味して21位になったみたいな「この人こういうのが好きなんだな」というのがありありとわかるようになってます。
個人の映画好きブログなので人の本棚を覗く気分で見てもらえれば。
※劇場で観た新作映画のみでカウントしてます。
それでは
2022年に観た人の本棚的おもしろかった映画11本です
1位
RRR
槍と水の英雄が弓と炎の英雄と出会い固い友情で結ばれたり決別したり共闘したりそれぞれ恋の話もあったり大忙し。
「さては人間じゃないな?」とばかりに戦闘能力が高い2人が1人を除いてみんな悪人なイギリス人数百人をとんでも戦法でなぎ倒していくのが圧巻。
友情、愛、恋、ダンス、裏切り、葛藤、戦い全てがギュギュギュッと詰め込まれた怒涛のエンタメ映画でした。
ツッコミどころもあるけれど「細けぇことはいいんだよ!」とツッコミを入れることが野暮というもの…と思わされるパワーがあり、ちょっと荒っぽいCGがとんでもストーリーとあいまって良い意味で「物語感」があるのもインド映画の好きなところ。
朝から水分控えめにして鑑賞したけど途中でお手洗いに行きたくなりでも目が離せず席を立てず、一瞬だけ画面に「intermission」と出てきたのにそのまま進んでいくのも「んもぅっ!」となり鑑賞の思い出となりました。
2位
声もなく
口が聞けず鶏卵販売しながらも犯罪組織から死体処理などの闇の仕事を請け負っている青年テインが「男ではなく女だから」という理由で親から身代金を払ってもらえない誘拐された少女チョヒと過ごすことになり…。
テインはその境遇故に闇の仕事を請け負っているけどそれは本人の性質からではなく本当に境遇故なんだろうなぁとか、チョヒも男の子なら身代金を払ってもらえるし売られるとしても相場が高くなるんだなぁとか空気を読む力が長けてるのは女の子故に苦労させられたこと多いんだろうなぁとか、役者の演技がうまいのもあってしんどい。
韓国映画って途中で希望が持てそうな展開や雰囲気になっても最後が「これは映画だから」ってファンタジーの入った結末にあまりならないので余計にしんどい。これもしんどかった。けどおもしろい。
3位
マイ・ブロークン・マリコ
親友・マリコの死をTVニュースで知ったシイノ。シイノはマリコを虐待していた父親の元にマリコの骨を置いておけないと、遺骨を強奪しマリコと旅に出る。
心も体も摩耗され続け壊れてしまい生き抜こうとする力が弱いマリコ。シイノは出来る限りマリコに寄り添っていたけれどマリコは死んでしまった。
幼い頃から死に至るまでにもっと他にやりようがあったのではと思ったけどそれは周囲に恵まれた運が良い人限定で実際はマリコみたいにどうにも出来ず壊れたまま生活してすり減ってすり減って消えてしまうのかもしれない。
…と書くと静かな映画っぽいですが遺骨を強奪するぐらいなのでシイノもぶっとんでいます。
奈緒演じるマリコの壊れ具合が過剰ではなくリアルな感じで、永野芽郁演じるマリコもちゃんとガラが悪く一生懸命でよかった。
4位
ケイコ 目を澄ませて
生まれつきの聴覚障害で両耳が聞こえないケイコは下町の小さなボクシングジムに所属しプロボクサーをしている。愛想笑いが出来ず嘘のつけないケイコは耳が聞こえないことに加えコロナ禍で世間がマスク生活を送る中、相手の言葉を読み取れず誤解を受けることも多い。ボクシングをすることに迷いが生じていたケイコだが、信頼する会長の健康悪化からジムが閉鎖されることになり…。
まずケイコ演じる岸井ゆきのがすごかった。ケイコを演じていることに違和感がなかった。
優しい人厳しい人、相手の耳が聞こえないということに思い至らない人、開いていた距離を少しずつ縮めていく人いろんな人がいること。ままならいこと。
ケイコの日常のいろいろを淡々と映し出す。映画だからと奇跡が起こったり何かが都合よく解決したりはせずスッキリとはしないけど人生そんなもんだしなぁ…。
良い映画だったしやっぱり岸井ゆきのが良かった。
5位
女神の継承
タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族の血を継ぐミンは、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返すようになってしまう。途方に暮れた母は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。ミンを救うため、ニムは祈祷をおこなうが、ミンにとり憑いていたのは想像をはるかに超えた強大な存在だった。
ー映画.comよりー
悪霊相手なので動物や小さき命もかわいそうな目に遭います苦手な人は注意。
悪魔憑きのようになったミンが映画エクソシストばりに奇行に走っていく様や周囲も巻き込んでとんでも儀式が始まったりしていくのが映像的なホラー要素なんですが終盤やり過ぎててちょっと笑ってしまった。
それよりも根底にある伝統とか信仰とか継承とかカルマとかそういうものが怖い。
最後の最後で脱力する虚しさがありそこでめっちゃ評価が上がりました。
6位
ブレツト・トレイン
世界一運の悪い殺し屋レディバグが京都へ向かう超高速列車内でブリーフケースを盗み次の駅で降りるだけの簡単なお仕事を請け負ったはずが9人の殺し屋たちに次々と命を狙われ…というストーリー。
殺し屋たちのキャラが濃くて憎めず面白楽しいのとリアル日本というよりとんでもYAKUZAがいる不思議な色彩のパラレルニッポンが舞台な感じ。
B級要素を入れたクライム・アクション・コメディとしてとても好き。
7位
PLAN75
満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行された世界線。
このプラン75は作中でも「様々な反対意見がありつつ長年かけて可決された」とされているし、十年や数十年あれば世の常識や倫理観は変わるので全く別世界の話ではないなぁと思いながら鑑賞。
年齢を理由に突然解雇され、次の働き口が見つからない78歳のミチ。
いよいよとなり生活保護の話をされるも「人様に迷惑をかけたくない」と辞退する場面があるんですがこの世界線で78歳の老人が生活保護を受けたら「そんなの税金の無駄遣いだ」という思想の人から嫌がらせや下手したら迫害を受けそう。
八方塞がりだけど大声を上げない静かなミチが倍賞千恵子にぴったりでした。
色々な形でPLAN75に関わる人々が出てくるので自分がその世界線にいたら、とかその世界線で自分が75歳以上だったらとか色々考えさせられる。
8位
スワンソング
最愛のパートナーを早くにエイズで亡くしたパトリックは元ヘアドレッサー。彼が暮らす老人ホームに「元顧客で親友でもあったリタに死化粧を施してほしい」と依頼が届く。
老人ホームから抜け出し上下スウェット・徒歩でリタの元へ彼女への複雑な思いを抱えながら向かうパトリックがわらしべ長者のように花のついた帽子、スカーフなどを手に入れていきだんだんとかつての自分を取り戻していく様が素敵でした。
ただホームで車椅子使ったりもしてたのに脚力すごい。
恋人を偲び、久しぶりに歩いた外の世界ではゲイカップルが子育てをしている。
余韻の残る映画でした。
9位
LAMB
アイスランドの田舎で暮らす羊飼いの夫婦。
ある日羊の出産に立ち会うと「羊ではない何か」が産まれてくる。子どもを亡くした2人はその「何か」に「アダ」と名付けて育てることにするがーーーーというお話。
A24が北米配給券を獲得したという作品。
たしかに不気味で奇妙で歪でどこかおかしな部分、「ヘレディタリー」「ミッド・サマー」と通じる。全裸含め。
アダを産んだ母羊が「うちの子返して!」と言わんばかりに家の前で鳴いたり後をついてきたりするのを妻が本気で「くるなーーーーーーーーー!!!!!」と羊相手に叫んで威嚇するの種族を超えた母の戦い。母羊は子どもを取られた被害羊なのにかわいそう。
「羊ではない何か」のアダの全貌も途中で明らかになるんですが、最初不気味に感じていたのが段々可愛く見えてきました。
酒飲んで昔の曲で踊って盛り上がる人間達についていけず「え、何…理解できない…」という風情のアダ可愛い。感情が伝わってくるのすごい。
あらすじや解説で「アダは2人を破滅へと導いていく」とあるんですがそもそも子どもを奪いかつ罪を重ねた夫婦の因果応報なので最後のオチまで含めて人間の都合に振り回されたアダが気の毒という思いだったんですが、アダを最初は不気味がってた叔父さんも普通に可愛がるようになったので夫婦の「亡くした子どもの代わり=アダ可愛いフィルター」以外にも何か人外ゆえの人間を惹きつけるフェロモン的なものがクリスマス生まれのアダにはあったのか何なのか。
10位
ビリーバーズ
映画を観る前に簡単なあらすじだけ読んで鑑賞したんですが、「山本直樹の漫画みたいなストーリーだな」と思ったら本当に山本直樹の漫画が原作でした。
ニコニコ人生センターという名前からしてふざけている宗教団体に属する男2人と女1人が互いを議長、副議長、オペレーターと呼び合い無人島で共同生活を送る…というストーリー。
人間の汚い部分や滑稽な部分、本能に逆らえない性欲やら食欲やら諸々凝縮されまくりひどすぎて笑えるような大惨事が起きるのを実際ちょっと笑いながら「でもありえない話じゃない」と思いつつ観ていました。
欲を我慢しすぎたり何かを信じすぎたり夜みる夢に意味を持たせすぎたりするのは危険なんだなぁ。
体を張ったエロスなシーンがたくさん出てくるので注意が必要。
作品の始祖である原作者(山本直樹)がニコニコ人生センターの教祖として出てくるの良かったです。
11位
NOPE
ある日突然現れた「空にいる何か」
それは広大な牧場を営むヘイウッド家の父を死に追いやるが、長男OJと妹のエメラルドは「謎の飛行物体を動画撮影すればネットでバズる!」と撮影に挑み…。
終盤明らかになる「何か」の正体が「えっ、そうなの?」って感じなんですよね。
同時に「ヘッ…そういうの嫌いじゃないぜ…」って鼻の下をコスコスッとしたくなるみたいな。
ただ好みは分かれそうで一緒に観た友人は「何か」の正体はイマイチだったみたいです。
ジョーダン・ピール監督なので人種差別や搾取の問題等が組み込まれているんですがこの映画で一番怖いチンパンジーのあれやそれやのシーンは「あ、そういうこと…?」と家に帰って内容を反芻している時に思い至ったり私には初見で難しい部分がありました。
生き物とは迂闊に目を合わせちゃいけないことは理解したけど気づいていないメタファーがたくさんあるんだろうなと思います。
「ゲット・アウト」「アス」と同じように「怖さの中にある奇妙なおかしさ」も今回も健在なのですが「これ伊藤潤二のホラー漫画に通じるものがある!」と一人で勝手に納得していました。伊藤潤二の漫画が好きな人はジョーダン・ピール監督作品と相性良さそうかも。
ここまでの11本で2022年ベスト映画はひと区切りです。
ベストまではいかなかったけど「面白かったなぁ」「見応えあったなぁ」という映画も一緒に簡単に書き留めておきます。
12位
グレート・インディアン・キッチン
インドの中流階級に残る家父長制、女性蔑視を主にひたすら料理を作らされ家族の為に尽くすことを強いられることで描いた作品。
出てくるインド料理はどれも美味しそうなのに食欲をそそられなかったので食欲と精神状態は繋がっているんだなと実感。
中流階級でこれなら貧困層の女性はなす術もないのでは…。
13位
ハッチング 孵化
フィンランド製ホラー。
幸せ家族の動画を世界に発信することに夢中な母。
母親の期待に応えようとする少女の抑圧が内緒で暖めた卵の孵化により思わぬ形で暴走する。
卵からかえったものおぞましくて好き。
14位
THE FIRST SLAM DUNK
原作漫画完全版と「あれから10日後」を持っていて旧アニメは数回観たかな?くらいのライトファンです。
バスケのシーンが本当に白熱していて見応えがあった。
結果は知っているのにドキドキしながら湘北を応援しました。
井上雄彦の絵がそのまま動いている感じで製作にすごい時間がかかってるだろうな他メンの映画も作ってほしいけど大変なんだろうな…。
日常シーンは年齢を重ねた現在の井上雄彦だからこそ深堀りして描けるんだろうなと思いつつ、連載時のようなギャグ要素とまではいかないまでも不自然ではない程度の明るさが個人的にほしかったなぁ。
15位
今夜、世界からこの恋が消えても
「お互い本気で好きにならないこと」を条件につきあうことになった真織と透。
透はある日真織に眠るとその日の記憶がすべてなくなってしまう前向性健忘症であることを告げられるーーーーーーというラブストーリー。
後のストーリー展開の為のフラグがわかりやすすぎたりトントン話が進むなぁとも感じたけど透を演じる道枝駿佑の透明感と儚げさが際立っていたので急展開にも謎の説得力が生まれたのと真織の親友役の古川琴音がしっかりとした演技をしていたのでそこまで現実離れした作品にはなっておらず良かった。
以下、ずらずらっと
16位
アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド
17位
チタン
18位
MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
19位
ベルファスト
20位
きさらぎ駅
21位
トップガン マーヴェリック
22位
アフター・ヤン
23位
川っぺりムコリッタ
24位
神は見返りを求める
25位
鈴木さん
26位
すずめの戸締り
27位
ある男
28位
アイ・アム・まきもと
29位
死刑にいたる病
30位
ハケンアニメ!
31位
シン・ウルトラマン
32位
かがみの孤城
33位
ルイス・ウェイン 生涯愛した猫と妻
34位
ザ・メニュー
35位
サバカン SABAKAN
36位
劇場版 おいしい給食 卒業
37位
アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台
38位
君を想い、バスに乗る
39位
窓辺にて
40位
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
41位
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス
観ようと思って見逃したものや、チェックしきれていない作品もたくさんあると思うのですがとりあえず
以上、2022年に観た面白かった映画でした。
2023年も面白い映画に出会えますように!