「同担拒否のヤンデレ人形・チャッキー」VS「ヤンデレな人形に死ぬほど愛されて眠れないアンディ」な物語。
2019年/アメリカ/90分/オーブリー・ブラザ/ガブリエル・ベイトマン/76点
ーあらすじー
引越し先で友達のいない少年アンディは、誕生日に母親から人形をプレゼントされる。その人形には、音声認識センサーや高解像度画像認識機能などが備えられ、スマートフォンアプリと連携して操作も可能という、最先端の技術が盛り込まれていた。人形をチャッキーと名づけて一緒に暮らし始めたアンディだったが、次第に周辺で異変が起こり始めて……。
映画.comより
ざっくり感想
導入部分から可愛くないバディ人形(チャッキー)
ある意味ピュアヤンデレなチャッキー
ほどよくグロい、ほど良いホラー
どう見ても不気味なバディ人形(チャッキー人形)発売に大興奮する米国人マジか
細かいことは気にすんな
正直そんなに怖くはなかったですが(R-15なのは若干グロいシーンがあるからなのでしょう)「カレーの激辛は食べられないけど中辛ぐらいなら」という感じでほどほどの刺激を求めたい時に良い具合かと思いました。
ホラーが苦手な人はそこそこ~普通に怖いと思います。
そしてオリジナル版のチャッキーは人形に殺人犯の魂が入り込んでましたが、今回のリブート版は今風にAIです。
他にも現代版ならではの風刺みたいなものをちょこちょこ感じる作りになっていました。
導入部分から可愛くないバディ人形(チャッキー)
映画は、最先端テクノロジー企業・カスラン社の期待の新商品、“バディ人形”の紹介シーンから始まります。
カスラン社CEOが直々にバディ人形の素晴らしさ、子どもには決して裏切ることのない友達が必要だと熱く語ります。
「バディ人形は人形ではありません、親友です」
学習機能があり会話もでき歌も歌え、電化製品の操作をしてくれたり車を呼んでくれたり子どもの時間割を記憶してその日の授業で使う教科書を渡してくれたり見守りカメラ的な役割も果たすよ!という夢のようなバディ人形。
しかし肝心のバディ人形が可愛くない。
チャイルド・プレイって可愛い人形が豹変!キャー!という話だったと思うんですが初っ端から不気味。
しかしバディ人形はヒットし、ベトナムの工場で量産されます。
上の空でバディ人形を組み立てていた男がいますが、上の空のため上司に殴られ怒られます。
「何度言ったらわかるんだ!ソイツを組み立てたら出ていけ!!役立たずがぁぁ!!!」と怒鳴り、男も焦ったり謝るでもなく以前から折り合いが悪かった様子。
注意された男は言い返さずも憤り、組み立てていたバディ人形のデータをいじり「言語制限」「暴力制限」等の安全装置を解除してしまいます。
そして工場の屋上だか上の階からか飛び降りて死にます。
明らかな元凶。
ある意味ピュアヤンデレなチャッキー
主人公・アンディの母・カレンは玩具屋の苦情受付窓口?で働いています。
引っ越し先で友人の出来ない息子を心配したカレンはクレームで返品されたバディ人形(電源入れたら目が赤い)をこっそり持ち帰りアンディへの少し早い誕生日プレゼントにします。持ち帰らず正規品買えよ。正規品高そうだけど。
そしてアンディに渡しますがちゃんと「不良品だから上手く動かないかも」と言うカレン正直。しかし「不良品だから」という前提故に様子のおかしい人形を放置してしまいます。
電源を入れた時の目が赤いだとか、「名前をつけて」というから「ハン・ソロ」と名付けようしたら「いやだ!チャッキーがいい!」と自ら名乗ったり「×××野郎」といった放送禁止用語を普通にリピートしたり明らかにおかしいんですが放置。
夜中に突然バディソング(君は僕の親友 君をずっと離さないよ♪)歌いだしたり迷惑でもあるんですが、「僕は君の親友だよ」と寄り添ってくるチャッキーにアンディもほだされてしまいます。
放送禁止用語リピートだけならまだ無害だったんですが、アンディを引っ掻いてケガをさせた飼い猫の首を絞めたりチャッキーを通じてできた友達・ファリンとパグとチャッキーと一緒に80年代スプラッター映画を観た際に残酷シーンを見て大笑いする子ども達にチャッキーは「スプラッター=楽しい、喜んでくれる」と学習。台所の包丁を持ち、パグに襲い掛かろうとしたところをアンディに止められます。「ごめん、喜んでくれると思ったんだ」とチャッキー。
ほどよくグロい、ほど良いホラー
「人や猫を傷つけちゃいけない」とアンディは教えますが、カレンに「猫が人形怖がるから」とアンディから引き離されチャッキー猫殺害。
更に母の恋人・シェーンに小馬鹿にされた(原因を作ったのはチャッキー)アンディが思わず独り言で「あんなヤツ死んじゃえ」と言ってしまった為、チャッキー更にシェーンも殺害。
チャッキー、シェーンの車にこっそり同乗し家まで着いていき庭の芝刈り機を使ってエグい殺し方をするんですが殺害後にあの小さい体でどうやってアンディの家まで戻ったのかなと思うとチャッキーなかなか大冒険。
しかもスプラッター映画に倣ってシェーンの頭部をアンディの部屋の机に設置し、衝撃を受けるアンディに「サプラァーイズッ☆友達のためなら何でもするよ!」とむしろ褒めてと言わんばかりのチャッキー。
アンディはファリンとパグに相談しシェーンの頭部を陽気ななラッピングで手作りプレゼント風に偽造。チャッキーの胸部に埋め込まれていたアイアンマンぽいリアクターを取り出しアパートのダストボックスに捨ててしまいます。
チャッキーはアンディらに取り押さえられてリアクターを取り出される際に「親友だと思ってたのに…」とフラグ満載なセリフを残します。愛が愛憎に変わった瞬間。
以下、ネタバレあり感想
ダストボックスに捨てられたチャッキーですが、アパート管理人(カレンに目をつけている)に発見され「修理すれば高く売れるぞ☆さぁお腹を見せて~」と軽率に修理され復活します。復活してすぐに管理人も殺害します。
アプリと提携した映像に映っていた、アンディとアパートの住人・老女ドリーンとその息子マイク(警官)の和やかな夕食シーンでドリーンが「アンディは私の親友よ」と言って仲良さげにしているのを見て嫉妬。カスラン社製の力を発揮して車を操作しドリーンも殺害します。でも「アンディの親友は僕だよ」と止めはチャッキーのナイフだったところにAIを超えたヤバさを感じます。
捨てたはずのチャッキーの影に怯えるアンディ。
実際に気のせいではなくチャッキーはアンディの周りから人がいなくなるように仕向けており、やっとできた友人から遠巻きにされたり、母親から「うちの息子ヤベェ」という目で見られてしまい孤立するアンディ。なんという過激派同担拒否。
母を殺されたマイク刑事は、ゴミの中から発見されたシェーンの頭部のラッピングからアンディの関連に気づきます。
どう見ても不気味なバディ人形(チャッキー人形)発売に大興奮する米国人マジか
家のTVにドリーン殺害の映像やシェーン殺害時の音声を流されたりなどして発狂したアンディはバッドでTVや家具を破壊。
バディ人形2発売日のため仕事を休めないカレンはアンディを連れて職場である玩具屋に出勤。
「チャッキーに殺されちゃうよ!!!」とアンディは訴えかけますが当然、カレンは相手にしません。
ズラリと並ぶバディ人形2は今回は5種類。肌が黒かったりベア仕様になっていたり種類は増えましたが不気味さは変わりません。
店の外では発売を待ちきれない客が数十名押すな押すなと詰めかけ「バディ!バディ!」と大興奮。OH…マジかよブラザー……。
店が開いた途端、順番もなにもなく雪崩れ込む客。
しかし店内には既にチャッキーが潜んでおり…。
チャッキーは力も機動力も頭脳もアプリ連動もある為。バディ人形やドローン、他の玩具も巻き込んだ玩具屋での殺人ショーが始まります。
無関係の人々もサクサク殺されたりケガをします。
タイミング悪くアンディを確保しにきていたマイク刑事はアンディが逃げないように手錠を嵌め店内の大きなワゴンに繋いで放置。
当然アンディは迫りくるチャッキーから逃げられません。
が、ピンチの中、同期したスマホからチャッキーの殺害動画を見たファリンとパグともう一人の友人が暴走に気づきアンディ救出にやってきました。
ファリンがチェーンソー的なもので繋がれた手錠を外してくれ、店の外へ向かう子ども達。システムなのか店のシャッターが閉められていく中、店内のTVに口をガムテープで塞がれ、首に縄をかけられたファリンの姿が映し出されます。
「アイツ(チャッキー)の罠よ!」とファリンはアンディを連れ出そうとしますが、母を救うため、アンディは一人残ります。
チャッキーが見せた一瞬の隙
母・カレンを救う為にチャッキーと1対1の対決に挑むアンディ。
さすがの機動力と力にアンディはチャッキーに押し倒され、チャッキーはナイフを振り上げます。
「どこが悪いの?治してあげる。お腹を見せて」
それアパート管理人の台詞や学習能力ほんと高いなチャッキー!
お腹裂かれちゃう……!!!という絶体絶命な場面で、アンディは歌い始めます。
バディソングを。
「君は僕のバディ ただの友達じゃない 君は僕の親友…♪ 」
するとチャッキー、一瞬怯みアンディを押さえつける力が弱まります。
すかさずチャッキーを跳ね除け母の救出に向かうアンディ。
しかし当然致命傷には至らなかったチャッキーが再びアンディに…!
…というところで、玩具屋殺人ショーでチャッキーの攻撃を食らい、「死んだ?」と思われていたマイク刑事がチャッキーを銃で撃ち、アンディはカレンを無事に救出。
カレンは「私の息子になにすんのよ!」とチャッキーの頭をもぎます強い。
チャッキーの赤い目は光を失い、子ども達から更に体をバラバラに破壊されます。
こういうシーン「IT」にもあったな…。
シェーンに馬鹿にされても言い返すことも出来なかったアンディが母を守るために一人でチヤッキーに向かっていったのは確かに成長を感じました。
そして冒頭と同じ、カスラン社CEOの新たな映像。
一連の事件の責任は認めないが、バディ人形2のリコールをすると発表します。
どこかの薄暗い倉庫。
リコールの為に積み重ねられた大量のバディ人形たち。
そしてチャッキーの笑い声が…。
チャッキー演じるマーク・ハミルが歌う「バディソング」が流れエンドロールへ。
…
……
………
マーク・ハミルの歌う「バディソング」いい味出してます。
ところでチャッキーは極悪人形だったのか問題
やったことは超極悪ですが、今回のチャッキーは悪霊だとか心霊的現象から殺人人形になった訳ではないのです。
最初の組み立て時に「言語」「暴力」等の制御を外したのは人間だし制御を外した人間を追い詰めたのも人間だし「スプラッター=楽しい」と無意識にしろ学習させちゃったのも人間だしチャッキーは親友であるアンディを喜ばせたかっただけといえばそれだけなんですよね。
「人間も猫も傷つけちゃダメ」と言われたのに背いたり、アンディを喜ばせるだけではなく周囲から引き離して孤立させようとしたのは恐ろしいけどAIが進化して暴走すると最悪こうなるのかも?という近未来ifホラー要素もあったかと思いますハチャメチャぶりの方が際立ってますが。
GPSもドローンも使い方によってはとても危険な凶器になるのだということも描かれていましたし。
2の製作もあるかな?
あるんだったらヤンデレ人形チャッキーの更なる暴走も見てみたいです。