思いがけず微百合萌え
金髪ふわふわ系な姉と黒髪クール系な妹の組み合わせたまらん
ポーランド/92分/キンガ・プレイス/マルタ・マズレク/ミハリナ・オルシャンスカ
70点
あらすじ
共産主義下にあった1980年代のポーランドを舞台に、肉食人魚姉妹の少女から大人への成長物語を野性的に描いたホラーファンタジー。
海から陸上へとあがってきた人魚の姉妹がたどりついた先はワルシャワの80年代風ナイトクラブだった。
野性的な魅力を放つ美少女の2人は一夜にしてスターとなるが、姉妹の1人がハンサムなミュージシャンに恋をしたことから、姉妹の関係がおかしくなっていく。
やがて2人は限界に達し、残虐な行為へと駆り立てられていく。
以上、映画.com
ざっくりメモ
美少女姉妹萌え(でも下半身はヌメった魚)
すごく魚
歯が、歯があぁぁ!
王子ポジションのミュージシャンがクズだけど悔しいけどかっこいい
考えるより感じろ
話のベースはアンデルセン童話の「人魚姫」
主な舞台がナイトクラブで歌+ストリップショーがあることもあり、良い意味でハリウッドのようにはりきってないミュージカル風で歌やダンスが多いんですがいちいちかっこいい。
人魚が「歌声で人間を惑わせる」と言われてるからだと思うんですが、人魚姉妹が歌い踊ると、人間達が熱狂し夢中になります。
1曲1曲、衣装やダンスも凝っていて特に前半はMVをたくさん観たような感覚になりました。人魚姉妹以外のステージも素敵。
人魚姉妹のキャラクター付けが私好みで(金髪で懐こい系の姉と黒髪で人見知りしがちな妹)、けっこう早い段階で「この人魚姉妹に萌えられれば満足だわ」と着眼点が決まったので個人的には満足度が高い映画となりました。
でも「人魚姉妹萌え」といいつつ下半身は生臭さを感じるネメった魚で綺麗ではないし、鮫みたいな歯があるし怒るとグルグル唸ったりイルカの鳴き声っぽい超音波?でテレパシー会話をしたりと「人外感」が高くて、全体を通してリアリティがあるのかないのかわからない不思議な感じ。
見ていて「まぁ現実はそんなもんだよね…」と思う場面も多々。
「妹はもちろん大事だけどハンサムな彼に夢中!な姉」「姉に対してちょっと行き過ぎた姉妹愛を感じている妹」「ハンサムだけど色々ゆるいミュージシャン」って嫌な予感しかしないですが、その予感通りに話は進んでいきます。
ネタバレなし感想
出オチ感のある「決してあなたを食べたりなんかしない」という歌
映画の冒頭はダークファンタジー。
2人の人魚が骸骨が浮かぶ海?川?の中を泳ぐアニメーション。
それから場面が変わり、水辺で音楽を楽しむ男女3人の姿。
水面から頭だけを出し「私たちを岸に上げて、決してあなたを食べたりなんかしない」と歌う人魚姉妹。
美しい歌声に魅せられたのか、男性は水辺に近づき、女性が悲鳴を上げる。
すごい出オチ感ですが姉妹の歌声キレイです。
男女3人(ナイトクラブで演奏しているバンドだった)に連れられ、姉妹は彼らの働くナイトクラブへ。なぜか下半身も人間。
姉妹と会う前から「生臭い匂いがする」という支配人。
生臭さを辿り姉妹と対面した支配人は2人に服を脱ぐようにいいます。
2人の下半身を見、支配人は「穴がない」と驚きます。
水をかけると人魚の姿になる姉妹に、支配人は金儲けの気配を察知し大喜び。
姉妹にも歌とダンスでショーに出るように命じます。
若く可愛い姉妹は客にも温かく迎えられますが、人魚へ変化する姿まで見せてさらに大盛り上がり。
「珍しいモノ」だという認識はあるけれどこの世界では「世紀の大発見」レベルではない模様。
愛の「ウロコ・ピック」
姉のシルバーはバンドメンバーのベーシスト・ミーテクに恋をするも「俺にとって君は魚なんだ」とフラれてしまう。
ショックを受けながらも自らの鱗を痛みに耐えながらはがし、「演奏する時に使って」と渡す。
妹のゴールデンはクラブ客の男を誘い出して殺害、心臓を食べる。
姉妹とバンドはナイトクラブで大人気。
芸能事務所社長にも気に入られバニー耳をつけてグラビア撮影のようなことまでする。
人魚にバニー耳をつけるセンス。
一度フラれはしたものの、だんだんミーテクと親しくなるシルバー。
やきもきするゴールデン。
ゴールデンは客を装った女刑事に「殺人の疑いをかけている」と言われるも知らないふり。
ショーに魅せられた女刑事も誘惑するゴールデン。魔性です。
俗世間に染まる人魚
タバコと酒も覚え、人間世界に染まっていく姉妹(特にシルバー)。
ある日姉妹+バンドメンバーでTVを見ていたところ、殺人ニュースが流れる。
「心臓を抉られていた」「人間と、爬虫類のようなものの痕跡あり」。
言葉には出さないものの、明らかに『お前らじゃね?』という雰囲気のバンドメンバー。
ゴールデンは部屋にこもりシルバーはメンバーに「どうしてどこにも遊びに連れていってくれないの?お金も稼いでいるのに!」と不満をぶちまけます。
「生意気言いやがって!」と姉妹を殴るドラマー。
3人は気を失った姉妹を毛布でグルグル巻きにし川に投げ捨ててしまいますが…。
以下、ネタバレあり感想
人魚、復活
人魚だからなのか、姉妹は川から復活し、水辺に居合わせた人間を襲いナイトクラブへ戻ります。
ミーテクに抱き着くシルバー。
自分たちを殴ったドラマーの親指を食い千切るゴールデン。
再びショーに出演する姉妹に、「角を失った悪魔」が語りかけます。
「尻尾を切れば人間になれる」
「そんな話嘘に決まってる」とゴールデンは止めますが、「私の邪魔をしたら姉妹の縁を切るわよ」と強気のシルバー。
怪しげで大雑把すぎる尻尾の切断手術を受け、人間の女性の下半身を繋ぎ合わます。
大雑把すぎる手術でしたがどうにか下半身はつながったようで、家で歩行訓練をするシルバー。
花束をプレゼントに帰宅したミーテクは傷跡生々しく満足に歩けないシルバーと結ばれるのですが、事後、自分の腹にベッタリ付着したシルバーの血にすごく冷めた表情をします。
そりゃあ傷口も開くわ!!!!血も出るわ!!!!!
ほんと、ミーテクは王子ポジションのはずなのに顔が良いだけの酷い男だ…と思ったけど、童話の王子も人魚姫を保護した以外は別にいいエピソードとかなかったですね…。
尻尾と共に声も失ったシルバー。
支配人は「ゴールデンのソロでいこう」と指示を出しますがゴールデンは拒否。
さらにミーテクが、仕事で知り合った女性に一目ぼれしてしまい…。
おとぎ話の結末は
ミーテクはあっさりとシルバーを捨て新しい彼女と結婚してしまいます。
シルバーから貰ったウロコ・ピックも捨ててしまいます。
船で開かれた結婚パーティ。
白いタキシードを着ていつも以上にイケメンなミーテク。美人な新婦。
そんな2人を微笑みながら見つめるシルバーに、悪魔とゴールデンは言います。
「朝までにあの男を食べないと、泡になって消えてしまう」
パーティも終わり夜明けが迫る薄明りの中、ミーテクに近づき、そっと体を預けるシルバー。
バカ騒ぎのあとで頭が回っていない様子のミーテクはとりあえず抱き寄せます。
ミーテクの肩ごしに『早く食べろ』とテレパシーを送るゴールデン。
牙を剥きながらもミーテクを食べるか葛藤するシルバー。
空はだんだん明るくなり夜明けが近づきますが…
牙を剥くのを止め、ミーテクの肩に頬を寄せ、微笑むシルバー。
絶望の表情を浮かべる妹の前で、姉は童話の人魚姫と同じように夜明けと共に泡になって消えてしまいます。
そしてミーテクは、自分の体にベッタリ付いた大量の泡に「うえぇっ?」と不快交じりともとれる反応をします。
シルバーの心配しないのかよ。
当然キレるゴールデン。
ミーテクに飛びつき、喉笛を噛みちぎってしまいました。
騒然となる船上。
姉を失った悲しみに錯乱して泣きながらも海に逃げるゴールデン。
白いタキシードを血に染め、絶命寸前のミーテク(どう見ても助からない)。
誰も幸せになりませんでした。
…という、お話だったのさ(脱力)
とりあえず一人残されたゴールデンがかわいそうなのとミーテクがほんと酷い男だけど顔が良くてなんだか悔しいやら、ミーテクの結婚相手も気の毒やら。
自分の命を捨ててもミーテクを食べることができなかったシルバーなのに、結局ゴールデンにミーテク殺されちゃうの何だかなぁとも思うけど、でもミーテクがのうのうと幸せになるのも許せないしで。
ラストは違えど童話の『人魚姫』も悲しい結末だったよなぁとしみじみ思い返し、あの話をハッピーエンドに持っていけるディズニー凄いなと全く関係ないことを思いました。
『シェイプ・オブ・ウォーター』以上に好き嫌いと評価が分かれる映画だと思いますが、「好み」という点では『ゆれる人魚』の方が好きかもしれないです。
タイプの違う美少女がキャッキャしてるの本当に目に優しい(人外ですが)